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Home / 恋愛 / 前世の虐めに目覚めた花嫁、婚約破棄を決意 / 第252話

第252話

Author: 小春日和
彼女は今までチヤホヤされて生きてきたので、このような屈辱を受けたことはなかった。

雪はスマホを取り出し、すぐに黒川会長に電話をかけた。

電話に出た使用人に、雪は言った。「会長はいらっしゃいますか? 会長と話したいのですが」

使用人は雪からの電話だと分かると、すぐに昼寝の準備をしていた会長を起こした。

会長は不機嫌そうに言った。「何だ?」

「清水さんからの電話です。何かお困りのようです」

そう言って、使用人は会長に電話を渡した。

会長は仕方なく電話に出た。

電話口の雪は、まるで酷い仕打ちを受けたかのように、泣きながら言った。「会長! 涼様は私のことが嫌いなのでしょうか? 私のことが嫌いなら、家に帰ります!」

「どうしたんだ? 落ち着いて話してみなさい」

会長はもう年老いており、雪の泣き声に頭が痛くなってきた。

雪はすぐに言った。「せっかくお弁当を作って涼様に食べさせようと思って来たのに、相手にすらしてくれないんです! きちんとした休憩室も用意してくれないし、秘書の田中さんにも見下されている気がします。清水家は小さな家柄ですが、私たちにもプライドがあります。こんなにひどい扱いをするなんて、涼様は私のことが本当に嫌いなのでしょうか?」

雪は家では何でも思い通りで、泣けば両親が必ず機嫌を取ってくれた。

会長は雪の言葉を聞いて、うんざりした様子で眉間を揉んだ。

大したことと思っていたのに。

こんな些細なことで、泣き喚くなんて。

この先、どうするつもりだ?

「涼は仕事で忙しいんだ。あなたももう少し理解してやるべきだ。後でわしが話しておこう。もし待てないなら、お弁当を田中に渡して帰りなさい。これから一緒に過ごす時間はたくさんあるんだから、今ここで少し待たされるぐらい、どうってことないでしょ」

会長が自分のために出てくれるつもりがないと分かると、雪は呆然とした。

前は会長が奈津美のことをすごく可愛がっていたと聞いていたのに。

なぜ自分にはこんなに冷たいのだろうか?

雪が何か言おうとした時、会長は言った。「そんなに不満なら、後で両親に話して、二人で別れなさい。その後、私が良い縁談を見つけてあげよう」

「会長、そういう意味じゃ...... 私は......」

「もういい、私は用事がある。切るわ」

そう言って、会長は電話を切った。

清水家
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