私は大声で谷原医師の名前を叫びながら、必死に体をねじって彼の方を見た。
しかし、彼がいつのまにか医療用の綿棒を手に持ち、分泌物を取り出すために丁寧に拭いているのがわかった。
「え?どうしましたか?関根さん、緊張しないで、ただサンプルを取っただけですよ」
彼の柔らかい口調と優しい手技を見た私は、本当に考えすぎだとわかると、急いで目を固く閉じて、自分をさげすんだ。
医療用の綿棒を、まさかあんな物だと勘違いしてしまうとは......
一連の検査を終えた後、彼は私の体に異常がないと告げた。
同時に、私に合ったマッサージプログラムを立ててくれた。
「関根さん、毎週日曜日に来てください。3ヶ月後には、新しい感覚と新しい人生経験を得られるでしょう」
そう言うと、谷原宏斗は再び私に優しく微笑みかけ、指で私の頭を愛おしそうに撫でた。
その日のマッサージが終わってから、なぜか谷原宏斗のことが時々思い出されていた。
昼間に仕事をしている時も、頭の中で彼の声が響いていた。
夢の中でも、彼がゆっくりと白衣のボタンを外しながら、ゆっくりと私に近づいてくる。そして、温かい手が私の体を滑るように触れていた。
シーソルトミントの爽やかで上品な香りが眠気を誘い、谷原宏斗の低い声が再び耳に響いてきた。
「関根陽菜、関根陽菜......」
「関根陽菜!」
チーフパーサーが怒鳴ったので、私は夢から驚いて目を覚ました。
「勤務時間中に居眠りなんて、陽菜、よくやってくれたね!今月のボーナス、もうないわ......」
「私......ごめんなさい......私......」
私はあわてて洗面所に行き、顔を洗って目を覚まそうとした。
最近、どうしてかずっとうつらうつらして、体がだるくて頭がぼんやりしている。
しかし、明日、谷原先生にに会うときには、すべての疲れが消えていった。
多分、私はこのマッサージでリラックスする方法が気に入ったんだと思う。
「関根さん、リラックスしてください。調子は良さそうですね。今はBあると思います」
谷原宏斗の細長い指が、私の体の前で指をくねらせながら、優しく言った。
私はその言葉に恥ずかしそうにうなずいた。
そして顔を外に向けると、すでに真っ暗になっていた。
クリニックのランプは、暖かみのある黄色い柔らかな光で部屋を満たしており、マッサ