Search
Library
Home / 恋愛 / 夫の元カノが帰国!妊娠隠して離婚を決意した私 / 第848話

第848話

Author: 夜月 アヤメ
光莉はスマホの画面に映る着信表示を見て、心臓が跳ね上がった。

すぐに手を伸ばし、スマホを奪おうとする。

だが、高峯はそれを軽々と持ち上げた。

「お前の旦那からだ。出るか?」

「返して」

光莉は真剣な眼差しで彼を睨みつける。

しかし、高峯は鼻で笑い、不敵な笑みを浮かべた。

「出たいのか?じゃあ、俺が出てやるよ」

「やめて!」

光莉が止めようとするよりも早く、高峯は指を滑らせ、通話を繋げた。

さらに、スピーカーモードにしてしまう。

光莉の顔が一気に青ざめた。

すぐにスマホから曜の声が響く。

「......もしもし、光莉?もう寝た?」

光莉の体が小さく震えた。

怒りを込めた視線で高峯を睨みつける。

しかし、彼は得意げな表情を崩さないまま、スマホを枕元に置くと、ゆっくりと彼女に覆いかぶさる。

わざと、曜に聞こえるように仕向けるつもりなのか。

光莉はぎゅっと目を閉じ、力を込めて高峯を押しのけた。

その頃、スマホの向こうでは、曜が不安げに問いかける。

「光莉?聞こえてる?電波が悪いのか?......光莉?」

高峯の顔がさらに近づいてくる。

光莉は彼の頭を押し返し、必死に言葉を絞り出した。

「......聞こえてる。もう寝るところだったけど、何か用?」

曜の声は、どこか安心したような、それでいて寂しげな響きを帯びていた。

「......そうか。いや、ただ......ちょっと声が聞きたくなって」

光莉が言葉を返す間もなく、高峯が再び唇を寄せてくる。

彼女は反射的に手で彼の口を塞いだ。

だが、それすらも彼にとっては遊びの一部に過ぎなかったらしい。

高峯はわざと小さく笑い、その声がスマホのスピーカーから漏れる。

曜の声が、一瞬止まる。

そして、疑わしげな口調で問いかける。

「光莉......誰かいるのか?」

光莉は再び彼の口を塞ぎながら、冷静を装い、即座に言った。

「......映画を見てるの。何か用?用がないなら、もう寝るから」

高峯は彼女の手を引き剥がし、その両腕を枕の横に押さえつける。

そのまま、また唇を寄せようとする。

光莉は必死に耐え、曜にバレないよう、必死に声を抑えた。

曜の声は、どこか寂しげだった。

「......何を
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP