すべてが終わった後、光莉は力なく横を向き、静かに目尻の涙を拭った。
背後から、高峯が彼女を抱きしめ、肩に軽く口づける。
「光莉、ちゃんと離婚して、俺のもとへ戻ってこないか?そうすれば、お前も藤沢家との争いを心配しなくて済む。あの男にだって、お前の再婚を邪魔する権利はないはずだ」
光莉は疲れたように目を閉じた。
「......どうすれば、私を解放してくれるの?」
たとえ離婚したとしても、高峯と結婚するなんてあり得ない。
「手放したくない。本来、お前は俺の女だ。俺は本気でお前を愛してる。そうじゃなければ、俺たちの子供をここまで育てたりしない」
「......つまり、何があっても手を離さないつもり?一生、私にまとわりつく気?」
光莉がそう問いかけたとき、その胸には深い絶望が広がっていた。
高峯はため息をつく。
「光莉......どうして俺を許してくれない?俺のお前への想いは、あの男にも負けていない......それに、西也に償いたいとは思わないのか?彼に真実を教えたくはないのか?」
「......その名前を口にしないで」
光莉の声が冷たくなる。
西也のことを持ち出されると、胸が痛んだ。
彼女の息子を奪ったのは高峯なのに、今になって西也を利用して自分を縛ろうとするなんて。
―なんて狡猾な男。
彼女は母として、自分の息子を見捨てることなどできなかった。
西也が自分の息子だと知ったとき、彼と向き合いたいと思った。
でも、勇気が出なかった。
彼女には西也だけでなく、修というもう一人の息子がいる。
こんな状況になるなんて思ってもみなかった。
もし時間を戻せるなら、高峯なんて男と出会うことも、曜と関わることもなかったのに。
結局、彼女の人生は「男運」がなさすぎた。
―どうして、私はいつも最低な男ばかり選んでしまうのか。
しかも、そんな男たちに限って、あとになって未練たらしく彼女にしがみついてくる。
―本当に、笑わせるわ。
その夜、光莉はよく眠れなかった。
高峯の腕の中で、何度も悪夢を見た。
翌朝、高峯に無理やり朝食を取らされ、それからようやく彼の家を出ることができた。
車でヴィラの専用道路を走っていると、前方に車が一台、道を塞ぐように停まっていた。
光莉はブレーキを踏