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Home / 恋愛 / 夫の元カノが帰国!妊娠隠して離婚を決意した私 / 第993話

第993話

Author: 夜月 アヤメ
「侑子、どうしてそんなにバカなの......?」

修は、自分でも彼女を責めるべきかどうか分からなかった。

でも、彼女なら自分のためにそんなバカなことをやりかねない―そう信じていた。

「私はただ、修に笑ってほしかっただけ。ほかの気持ちはなかったの、ごめんなさい、修、ごめんなさい......」

侑子は修の胸の中で、ポロポロと涙をこぼした。

その泣き顔はまるで雨に濡れた花のようで、誰が見ても胸を締めつけられるような気持ちになるだろう。

修はやれやれと小さくため息をついて、彼女を強く抱きしめた。

それから、もう一度若子の方を振り返る。

「どんな理由があっても、侑子がわざとやったわけじゃない。なのに、どうして手を出したんだ?」

若子は呆れたように笑った。

―本当に、この人は都合の悪いところだけ見ないようにするんだから。

あんなことを言われて手が出たのは、そっちが先なのに?侑子、ほんと性格悪い。

しかも、修はまるで彼女を特別扱いしてるみたい。あの発言を聞いていたはずなのに、少しも責める気配がないなんて。

若子は皮肉混じりに言った。

「悪かったわね。私が悪かった。彼女を殴るなんて、ほんとに反省してる。だって、今は彼女、あなたの赤ちゃんを抱えてる『大事な人』だもんね?」

「分かってるならそれでいい」

修は怒りをあらわにした。

「お前はもうとっくに吹っ切ったんじゃなかったのか?ならどうして手を出した?手を出すなら俺にすればいいだろ、なんで侑子を傷つける必要がある?言いたいことがあるなら俺に直接言えばいい!」

そう言い終えたあと、修はふと、昔若子が自分に言った言葉を思い出した。

―「何かあるなら私に言って、西也には関係ないから」

......ほんと、あの頃のふたりって、変に似てた。

でも、修は気づいていなかった。

全部の始まりは、実は彼自身だったってことを。

若子はゆっくりと修のもとへ近づき、そして思いっきり、平手打ちを食らわせた。

その一撃には、これまで溜め込んできた感情のすべてが込められていた。

「きゃあああああっ!」

侑子が怒りに震えて叫ぶ。

そして修にしがみつきながら、泣き叫んだ。

「なんで修を殴るの!?どうして!?文句があるなら私に言えばいいじゃない!修を傷つけない
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