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Home / 家族もの / 室外機の孤影、涙の子守歌 / 第18話

第18話

Author: 鈴木葵影
母は信じられない様子で目を見開いた。

「何で言った?」

私は強調して言った。「今、集中治療室にいて、まだ目を覚ましていない」

「どうして......そんなことが......」

母は呟きながら、怯えた表情を浮かべていた。

「彼が事故にあったなんて、あり得ない。私が彼を迎えに行かなければ、こんなことにはならなかったのに......早く、お父さんに会わせて!」

彼女は車椅子に座り、集中治療室の前で涙を流していた。

「全部私のせいよ。もし私が行かなかったら、こんなことにはならなかった」

私はいつも通り彼女を慰めることはせず、ただ黙っていた。病院の中を行き交う人々は、彼女よりもずっと悲しんでいるだろうと思ったから。

母はしばらく泣いていたが、私が何も言わないと、次第に泣き止んだ。

彼女は私を恨めしそうに見つめて、聞いてきた。

「どうして泣かないの?もしあんたがいなければ、お父さんに会いに行けたのに!」

「一滴の涙も流さないなんて、こんな冷血な娘を産んだ覚えはないわ!」

私は静かに彼女を見つめて反論した。「じゃあ、どうしろって言うの?あなたみたいに心底悲しんでみせろって言うの?」

母の顔が真っ赤になり、無意識に手を伸ばして私を叩こうとした。

しかし、彼女は自分の体調を忘れていた。力を入れすぎたせいで、体が一瞬ひっくり返り、車椅子から転げ落ちた。

足の傷がまだ完全に治っていなかったので、転倒した後は思わず悲鳴をあげた。

「早く、早く私を起こして!このバカ娘、少しは気を使え!」

私はただしゃがみ込んで言った。「私はあなたを起こせない。ここでお父さんと一緒に過ごせば?」

言い終わると、私は背中にリュックを背負い、その場を去った。彼らの世話で学校に行けていなかったので、もう限界だった。
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