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Home / 家族もの / 室外機の孤影、涙の子守歌 / 第27話

第27話

Author: 鈴木葵影
両親がいなくなった後、私と弟の生活は飛躍的に良くなった。

地域の担当者は私たちに孤児証明書を交付し、福祉施設に送ろうとしていた。

でも、須恵ちゃんが私たちを養子にしたいと言ってくれたので、規則や手続きには反していたが、私たちは心からそれを望み、三人で一緒に暮らすことになった。

私は成績は普通だったけど、テコンドーに夢中になり、大学を卒業した後はテコンドーのコーチになった。

弟はとても優秀で、なんと国内の有名な大学に合格した。

そのお祝いの日、弟は涙を流しながら言った。

「須恵ちゃん、すみません。僕たちがあなたを犠牲にさせてしまいました」

私たちがいるから、須恵ちゃんは恋愛も結婚もできなかった。

須恵ちゃんは遠慮せずに言った。

「じゃあ、私の老後の面倒、よろしくね」

その後、私は再び彼女に結婚しなかったことを後悔していないか尋ねたが、須恵ちゃんは答えなかった。代わりに私に質問を返した。

「人間と動物の一番大きな違いは何だと思う?」

私はしばらく考えてから答えた。

「道具を作ることだと思います」

須恵ちゃんはくすっと笑って言った。

「違うわ。道徳よ。私は一人前に子どもを育てられないなら、産まない。これも一つの優しさだと思うの」
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