両親がいなくなった後、私と弟の生活は飛躍的に良くなった。
地域の担当者は私たちに孤児証明書を交付し、福祉施設に送ろうとしていた。
でも、須恵ちゃんが私たちを養子にしたいと言ってくれたので、規則や手続きには反していたが、私たちは心からそれを望み、三人で一緒に暮らすことになった。
私は成績は普通だったけど、テコンドーに夢中になり、大学を卒業した後はテコンドーのコーチになった。
弟はとても優秀で、なんと国内の有名な大学に合格した。
そのお祝いの日、弟は涙を流しながら言った。
「須恵ちゃん、すみません。僕たちがあなたを犠牲にさせてしまいました」
私たちがいるから、須恵ちゃんは恋愛も結婚もできなかった。
須恵ちゃんは遠慮せずに言った。
「じゃあ、私の老後の面倒、よろしくね」
その後、私は再び彼女に結婚しなかったことを後悔していないか尋ねたが、須恵ちゃんは答えなかった。代わりに私に質問を返した。
「人間と動物の一番大きな違いは何だと思う?」
私はしばらく考えてから答えた。
「道具を作ることだと思います」
須恵ちゃんはくすっと笑って言った。
「違うわ。道徳よ。私は一人前に子どもを育てられないなら、産まない。これも一つの優しさだと思うの」