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Home / 家族もの / 室外機の孤影、涙の子守歌 / 第5話

第5話

Author: 鈴木葵影
私は仕方なくドアを叩きながら叫んだ。

「お母さん、弟が病気だよ!早く病院に行こう!」

何度も叫んだが、母は動こうとしなかった。

私はドアを蹴りながら叫び続けた。

「お母さん、音楽なんていいから、弟が本当に病気なんだよ......!」

弟は体が弱く、よく病気になる。私は本当に心配だった。もし、弟が亡くなってしまったらどうしよう。

おじいさんやおばあさんみたいに、大切な人をまた失うのが怖かった。

私はしばらくドアを蹴り続けてると、やっと母がドアを開けた。その瞬間、私は足を止められず、母の足に当たった。

母は痛そうに叫び、反射的に私にビンタをした。

私は一瞬驚き、頭が横に傾いた。

母は不機嫌そうに言った。

「外で何してんのよ。お前、父親と同じだな」

私は唇を動かし、涙を飲み込んだ。

「弟が病気なのに、どうして出てこないの......?」

まだ言い終わらないうちに、母は遮ってきた。

「私を探してどうするの、父親を探せよ。お父さんは死んだの?」

「それに、私だってお金がないんだから、父親が見つからないなら我慢しなさい」

そう言って、ドアを「バン!」と閉めた。

弟は眉をひそめ、額に汗をかいていた。触れると、体温が全く下がらず、むしろ熱が上がっていた。

私は歯を食いしばりながら、弟の腕を引き寄せ、片手で彼の足を支えて背負った。

もしこのまま熱が続けば、弟は本当に危ない。

私は弟を背負って、隣のお姉さんの家のドアを叩いた。すぐに姉さんがドアを開けてくれたが、バッグを肩にかけて出かける準備をしていた。

私たちを見ると、少し驚いたような顔をした。

「何で私のドアを叩くの?あんたのお母さんが私に出て行けって言ったんじゃないの?」
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