私は分かっていた。隣の姉さんが怒るのも当然だ。彼女には私たちを助ける義務はない。
私は鼻をすすりながら、必死に頼んだ。
「姉さん、お父さんに電話したいので携帯借りてもいいですか?」
隣の姉さんは新品のタッチスクリーンのスマホを手渡してくれたが、私は何度もかけた電話をすべて無視されてしまった。
姉さんは見かねて、再び電話をかけ続けた。ようやく、向こうが出た。
しかし出てきたのは、父ではなく、女性の声だった。私は彼女に、父がどこにいるのかを尋ねた。
女性は不機嫌に鼻を鳴らし、電話を父に渡した。
父は面倒くさそうに言った。
「またお前の母親がかけてきたのか?言っとけ、もう帰らないって」
「違うよ、お父さん!弟が熱を出して苦しんでるの。早く帰ってきて、病院に連れて行って!」
父はまた冷たく鼻を鳴らした。
「毎回こんな手を使って、母親に言っとけ、たとえお前らが死んでも俺は帰らないからな!」
隣の姉さんは呆れた顔をして、電話を奪い取ると、怒鳴った。
「くそ、子供にそんな言い方して、どうなってんだよ!死んでしまえ、この馬鹿野郎!」
そう言うと、電話を「ガチャ!」と切り、弟を抱き上げて言った。
「よし、病院に行こう」