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Home / 家族もの / 室外機の孤影、涙の子守歌 / 第9話

第9話

Author: 鈴木葵影
弟を幼稚園に送った後、私は学校には行かなかった。家には食べ物が少しだけあったけど、あまり多くない。私はお金を稼がなければならない。

でも、何もできない。仕方なく、近所のおじいさんやおばあさんのようにゴミ箱からペットボトルを拾うことにした。

1本1円。100本拾えば、100円のおにぎりが買える。

でも、半日かかっても100本には届かない。その時、須恵ちゃんのタトゥーショップの前を通りかかった。

須恵ちゃんは私を店に招き入れ、「どうして学校に行かないの?」と聞いてきた。そして、お金がないと聞くと、千円札を何枚もくれた。

「これ、使いなさい。お礼なんていらないから、借りたと思って」

「お姉ちゃん、将来絶対に......」

「お返しなんていいから、さっさと学校に行きなさい。こんな年齢でサボってるなんて」

私はそのお金を大事にバッグの中の隠しポケットにしまった。数えてみると、全部で20枚あった。それで弟としばらく困らずに過ごせるだろうと思った。

でも、数日後、母が帰ってきた。

私と弟はインスタントラーメンを食べていた。母が帰ってきた時、顔色がすごく悪くて、テーブルの上の紙を見た途端、怒ってそれを蹴飛ばした。

「お父さん、帰ってきてないの?」

私たちは二人で首を振った。母はラーメンを見てますます怒りが増した。

そして、手を伸ばしてラーメンの器をひっくり返し、茹でたばかりのラーメンが弟にかかってしまった。弟はびっくりして飛び跳ね、腕を振って痛がって叫んだ。

母は私の頬をつかみ、怒って言った。「お前、嘘をつくようになったのか?お父さんが帰ってこないなら、誰がお金を持ってきたんだ?」

私は痛くて顔が歪みながら立ち上がり、慌てて説明した。

「お母さん、お父さんは本当に帰ってこないの。お金は須恵ちゃんが貸してくれたの」

「須恵ちゃんって誰だよ?またどこかの浮気女?お前は親より他人の味方するなんて、お父さんと外のあの卑しい女のために話しているんじゃないよね?」

「違うよ、違うよ!須恵ちゃんは隣のお姉さんだよ。お願い、掴まないで!」

母は強く私を押しのけ、「またあの女と話したのか?あんな女がどうしてお金を貸すんだ?本当のことを言え、父さんは帰ってきたんだろ?」

私は必死に頭を振りながら否定した。

「帰ってない!帰ってないよ!父さんは帰
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