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Home / 恋愛 / 山口社長もう勘弁して、奥様はすでに離婚届にサインしたよ / 第997話

第997話

Author: 山本 星河
「見えない?何が?」

高村は疑惑の目で晴人を見た。

晴人はまた黙り込んだ。

両手でハンドルを握り、真っ直ぐ前を見つめた彼の表情は真剣そのものだった。まるで、さっきの一言が幻聴だったかのように。

高村は首を傾げながら視線を戻し、スマホでいくつかのツイートを読んでいたが、突然、直感的に晴人の言葉の意味を理解した。

変態なんだろう。

彼女はちらりと晴人を見てから、視線を下に移した。

すると、晴人は彼女の視線を感じ取ったかのように口を開いた。

「そこまで気になるなら、今夜直接見てみれば?」

「あなたの下半身には興味ないから」

「興味あるなら素直に言えばいい。遠慮するなよ」晴人は彼女を一瞥し、眼鏡を押し上げながら真面目な顔で言った。「ただ君の好奇心を満たしてあげたいだけだ」

「本当に興味ないってば」高村はそっけなく答え、話題を変えようとした。「それより、海外にいた間にテコンドーでも習ってた?この間、あの三人をあんなに簡単に倒したし」

高校時代の晴人はどちらかというと華奢な印象だった。

今も細身ではあるが、ハンドルを握る腕がシャツの皺越しに肩や腕の筋肉の輪郭を浮かび上がらせていて、その締まった体がはっきりと分かった。

「うん」晴人は頷きながら言った。「でも、君の話題の切り替え方、すごく不自然だな。興味あるんだろ?見る勇気がないだけじゃないのか?」

挑発してきたな。

こんな手には乗るわけにはいかなかった。

「誰が怖がるっていうのよ?」高村は毅然として答えた。「ただ、見る必要がないだけ」

「怖がってるんだよ。まさか、君がそんなに小心者になるなんて思わなかったな」晴人は言った。「覚えてるか?昔、君が俺を引っ張って一緒にエロ動画を見たことを」

見終わった後も全く動じることなく平然としていたのだから。

その話を持ち出され、高村の耳が赤くなり、つい反射的に言い返した。「見るなら見るわよ!」

彼女は窓の外に顔を向けながら言い放った。「あなたが自分の下半身が細いとか小さいとか言われても気にしないなら、私が気にする必要ないでしょ?」

「細くて小さい?」晴人は眉を上げた。「それにしても、時代が変わったな。昔は、君が俺を褒めちぎってたのに」

「昔は若かったの。経験が少なかっただけ」

「そう?俺の記憶では、君、いろんなサイトを俺に教えてくれたよね」

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