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Home / ラノベ / 彼は初恋のために殉情した / 第8話

第8話

Author: 逆行者
今日、あまりにも多くのことが起こり、病院で検査結果を待つ間、私は冷静さを取り戻した。

これからどうすべきか、じっくりと考えた。

私はもう60歳を過ぎているが、体はまだまだ丈夫だ。

しっかり休養を取れば、そう簡単には死なないだろう。

私は人生の大半を苦労して生きてきたが、一度も外で働いたことはなく、何も持っていなかった。

しかし、この家の財産は少なくとも半分は私のものだ。

それに、加藤拓也のマンションも私の名義になっている。

加藤親子は仕事が忙しく、マンション購入の手続きは私に任せきりだった。

当初、私は加藤拓也の名義にしようと思っていた。彼に買ってあげたマンションなのだから、そのまま彼にあげようと思っていた。

しかし、姪が私に忠告してくれた。

加藤拓也が嫁を大切にしなかった場合、離婚した時にマンションを分けられてしまうかもしれないから、私の名義にしておき、加藤拓也に子供が生まれたら、孫の名義に変更すればいいと。

私はその意見に納得し、従った。

長年の習慣で、加藤拓也は家の財産は全て自分のものだと思い込んでおり、私がこっそり何かをするはずがないと思っていたため、マンションに住み始めるまで、彼は権利証の名義に全く気づいていなかった。

今となっては、この財産が偶然にも私の手に残っていることを、心から幸運に思う。

私は家の財産を全て整理した後、姪に電話をかけた。

加藤親子は私のことを全く気にかけていなかったため、私の親戚のことは一切聞いてこなかった。

だから、彼らは私が弟と絶縁した後も、姪と連絡を取り続けていることを全く知らなかった。

私は姪を通して、弟一家の様子をずっと見守っていた。

数年前、弟が重い病気にかかり、退院後、小さなスーパーを開いて生計を立てようとしていた時、私は加藤健太郎に内緒でアルバイトをして、半年かけて少しばかりのお金を貯め、弟が店を開けるように援助した。

その後、姪が卒業して私の住む街で働き始めた頃、最初の1、2年は給料が少なかったため、私は毎月アルバイトで稼いだお金を姪に送っていた。

姪は私のしてくれたことにとても感謝し、お正月やお盆には必ず連絡をくれ、お小遣いと言って、お年玉やお盆玉をくれた。

加藤健太郎は家に客が来るのを嫌がっていたので、姪は一度も家に来たことがなく、私たちは時々外で会うだけだった。

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