Cari
Pustaka
Beranda / 恋愛 / 愛を待つ蓮台、涙を捨てた日 / 第9話

第9話

Penulis: こがね鍋
男の問いかけに、美苑は甘えたように声を上げた。

「その話すると、また腹が立っちゃうの。爆発の音がしたとき、ひよりはまるで計ったかのように、私のお守りを奪い取ったのよ。まったく……死ぬ間際まで、ほんとケチなんだから」

その一言を聞いた瞬間、颯真の胸に冷たいものが走った。

もし命を引き換えられるのなら――

死ぬべきだったのは、美苑の方だったのかもしれない。

そんな考えが一瞬でも浮かんだ自分に、愕然とする。

視線を戻し、目の前の女をじっと見つめた。

ひよりは、決して命を軽んじるような子じゃなかった。

誰かが少しでも親切にしてくれれば、きっと一生忘れなかった。

ましてや、こんな自分本位な言葉を口にするような人間では、決してない。

颯真は、美苑が腰に巻きつけていた脚を乱暴にほどいた。

そのまま、ひよりが使っていた部屋へ向かう。

室内は、まだ修復されておらず、黒く焼け焦げたままだった。

焼け残った箱の中、仏経だけが水に濡れて、かろうじて原型を保っていた。

ページの端に、整った小さな文字で書かれた言葉がある。

「颯真、あなたの代わりにお母さんの冥福を祈って写経したよ。だからもう、自分を責めないで――残りの人生、どうか前を向いて」

――かつて、ひよりはいつも彼のそばで、よくしゃべる子だった。

七年前の火事をきっかけに、颯真は仏の道を信じるようになった。

その後も彼女は一度も責めたりせず、黙ってそばにいて、

ひたすらに彼の代わりに祈りを捧げ続けてくれた。

自分は、朝霧家の中でもっとも疎まれてきた私生児だった。

幼いころはいつも、郊外の古びた屋敷にひとり閉じ込められていた。

その扉越しに、いつも世話をしてくれたのは――隣家の樅山の母だった。

そして鉄門の向こうから、遊びに来てくれていたのが――ひよりだった。

あの火事のあと、朝霧家は「颯真は災いを退ける強運の持ち主」と言い出し、罪滅ぼしのように彼を本家に引き取って育てることにした。

それ以来、彼はひよりを見るたびに、取り返しのつかない罪を背負っているような感覚に苛まれてきた。

だからこそ、家が決めた政略結婚を素直に受け入れ、すべての「愛」を美苑に向けようとした。

――けれど、どうしても心を制御できなかった。

本心では、ひよりに
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