男はすぐに警戒した。
「本当か?」
圭介は確信を持って答えた。
「間違いない。俺が嘘をついて何の得がある?」
圭介は、男があの連中を恐れていることを知っていた。
あの連中が、まともな人間でないことも分かっていた。
だからこそ、彼に注意を促したのだった。
少しでも男が慎重になれば、それだけ自分の安全も守られる。
見つかれば、自分も危険な目に遭うだろう。
男は耳を澄ました。
だが、彼には何も聞こえなかった。
風が木々や草を揺らす音、たまに聞こえる鳥のさえずり以外に、特に変わった音はなかった。
だが昔から、目の見えない者は聴覚が鋭くなると言われている。
だから男は圭介の言葉を信じることにした。
「それなら……少し休むか?」
車なら、すぐに通り過ぎるだろう。
男がこの時間を選んだのも、やつらが去った直後の今が一番安全だと踏んだからだった。
圭介は頷いた。
「そうしよう」
とはいえ、辺りは草ばかりで、腰を下ろせるような場所もない。
「前に川がある。そこで少し休もう」
圭介はうなずいた。
彼らは順調にそこへ向かった。
だが、彼らが腰を下ろしたその瞬間――二人の男が現れた。
男は彼らを見てすぐに動揺した。
「やっぱり誰か隠してたんだな?」
一人が顔を歪めて男を睨みつけた。
どの国でも、悪党というのはどこか見た目にも醜さが滲み出るものだ。
人を不快にさせるその雰囲気が、よりいっそう醜く見せるのだろう。
もう一人の男が鼻で笑った。
「だから言ったろ?二人暮らしのくせに、なんでこんなのがあるんだよ」
そう言って、彼は袖口の飾りを取り出した。
それは圭介のシャツの袖についていた飾りだった。
あの日、圭介を助けて家に運び込んだ時に落ちたのだろう。
夫婦は気づかなかったが、連中に見つかってしまったのだ。
「この袖飾り、結構な値打ち物じゃねぇか?」
男の一人がニヤつきながら唇の端を吊り上げた。
その言葉と同時に、彼の視線は圭介へと移り、舌打ちをした。
「しかもZ国の野郎じゃねぇか」
圭介は目を細めた。
手にした木の棒を、ぎゅっと強く握りしめた。
この二人がいつ攻撃を仕掛けてきてもおかしくないと悟っていた。
目が見えないというハンデは大きい。
今は口論している場合ではない。
「言うことが聞けねぇってのは……死