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Home / 恋愛 / 社長夫人はずっと離婚を考えていた / 第250話

第250話

Author: 雲間探
翌日。

昼近くになって、玲奈は外出した。

有美ともしばらく会っていなかったが、有美は本当に彼女に会いたがっていた。

店に入り、個室に着くと、有美は彼女を見つけてすぐに駆け寄ってきた。「玲奈お姉さん!」

玲奈は笑いながら手を伸ばして彼女を抱きしめた。「有美ちゃん、久しぶりだね」

この店に玲奈が来るのは初めてだった。

食事中、彼女はこの店のどの料理も美味しく、自分の口に合っていると感じた。

辰也が1時過ぎの映画のチケットを予約しており、食事を終えると、彼らは映画館に入りチケットを受け取った。

チケットを切って入場する前、有美がポップコーンを食べたいと言い出し、辰也は買う前に尋ねた。「大きいの?小さいの?」

「大きいの!おじさんと有美のお姉さんと一緒に食べるの!」

辰也は笑って「わかった」と言った。

シアターに入ると、有美は真ん中の席に座った。

席に落ち着くと、有美はポップコーンを膝に抱え、自分で一粒食べたあと、すぐに玲奈にも食べるように促した。

玲奈は手を伸ばして一粒取り、口に入れた。

玲奈のあと、有美は辰也にも早く食べてと催促した。

有美の好みに合わせて、辰也が選んだのは、公開されたばかりの子供向けアニメ映画だった。

アニメとはいえ、物語は生き生きとして面白く、笑いあり涙ありで、玲奈も観ながらけっこう楽しんでいた。

三人はポップコーンをつまみながら映画を観続けた。

どれくらい時間が経ったのか、玲奈がポップコーンを取ろうと手を伸ばし、それを引こうとした瞬間、辰也の手がちょうど伸びてきて、彼の大きな手が彼女の手の上に重なり、そのまま包み込んだ。

玲奈は一瞬、動きを止めた。

辰也も同じだった。

でも、玲奈にとってはただの偶然、たまたま手が触れただけで、たいしたことではなかった。

彼女がそう思った瞬間、辰也も手を引き、「悪い」と言った。

「気にしてないよ」

有美は映画に夢中で、二人の間で起きたことにはまったく気づいていなかった。

玲奈は有美の膝の上にあるポップコーンがあまり残っていないのを見て、もう手を伸ばすのをやめた。

その様子を辰也は見ていた。

けれど、彼は彼女が自分を避けているのだと勘違いした。

彼は目を伏せ、それ以上ポップコーンに手を伸ばすことはなかった。

映画を観ている途中、有美がジュースを飲みすぎてトイレに
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