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Home / 恋愛 / 高杉社長、今の奥様はあなたには釣り合わないでしょう / 第1065話

第1065話

Author: 龍之介
夜、食事の席で、玲奈は綿を引っ張って一気に愚痴をこぼした。

「全然メッセージ返してくれないじゃん!綿、あんた変わった!

やっぱり女って男ができると、すぐ親友を捨てるんだよね!男がいない時だけが、一番私を愛してくれるのよ!

綿、私は今、歯ぎしりしてるからね!もう、注文ばっかしないで!」

綿「……」

彼女はそっと顔を上げ、無邪気な顔で玲奈を見つめた。

なに?

玲奈「……」

あああああああ!

綿は真剣な顔で言った。

「二人で食事してるのに、あんたが料理頼まないから私が頼んでるんだよ?文句言うなら、後にして!」

玲奈は腕を組み、不満げな顔で隣のグラスを取り、酒を一口飲んだ。

綿はメニューを玲奈の前に押しやった。

「何か追加する?」

「いらない」玲奈は鼻で笑い、メニューをウェイターに渡した。

ウェイターはうなずき、そのまま離れていった。

綿は両手で頬杖をつきながら、玲奈がさっき言おうとしていた話を待った。

玲奈はため息をついたが、もはや話す気が失せていた。どうせ秋年の愚痴を言いたかっただけだった。

秋年と輝明は、こちらで偶然古い友人に会い、今夜はその約束があった。

そのおかげで、綿と玲奈は久しぶりに静かな時間を過ごせていた。

玲奈はグラスの酒を飲み干し、スマホを手に取ろうとした。その時、エレベーターから見覚えのある人物が現れた。

玲奈が呆然と立ち尽くすのを見て、綿も彼女の視線を追った。

そこにいたのは、承応の御曹司、翔太だった。

綿と玲奈があまりにも目立っていたのか、それとも位置が中心だったからか。

翔太は顔を上げた瞬間、二人を見つけた。

そして、条件反射のように踵を返して帰ろうとした。

綿は思わず笑ってしまった。

この子、きっともうトラウマになってるだろうな。

彼女たちを見るたび、あのバーでの恥ずかしい出来事を思い出してしまうのだろう。

綿は眉を上げ、隣の酒杯を手に取り、顎をしゃくって翔太に合図した。

翔太「……」

これはもう挑発に他ならなかった。

普段は自分が人を挑発する側だったのに、今では逆に挑発される側になっていた。

くそ、腹立たしい!

だが、翔太は怒るどころか、にやりと笑った。

平静を装い、友人とともに席に着き、綿に向かって笑顔を向けた。

綿は顔をそらし、玲奈の茶化す声を聞いた。

「桜井さん、
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