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Novels by minase.chiyo.main

女装メイドと婚約破棄された悪役令嬢は、幸せな結末を目指します

女装メイドと婚約破棄された悪役令嬢は、幸せな結末を目指します

「リリアンナ・モンリーズ公爵令嬢。君との婚約は解消させてもらう」 第一王子の言葉に、私は心の中で歓喜していた。 私は前世の記憶を持ったまま、この乙女ゲームの世界に転生していた。 そして、悪役令嬢である私には、ひとりの“最推し”がいる。 それは、ゲームの中で私に虐げられ、女装を強要されていた従者の少年。 彼を救うために、私はシナリオを変えてみせる。 運命を狂わせたその日から、“推し”だった彼が、少しずつ私にとって“恋”になっていく——。 悪役令嬢×女装従者。ふたりで幸せなエンディングを掴むまでの、転生ロマンス。
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Chapter: 第264話
ロミーナの表情は晴れやかで、セドリックも嬉しそうに笑みを返す。「そこにいたのネ。二人共」声をかけられて振り返ると、ヤコブとドミニカが立っていた。ライハラ連合国の伝統衣装を二人とも着ている。ドミニカはヤコブを国に連れ帰る気まんまんらしい。しかし、ヤコブはそれで納得しているようで、少し嬉しそうに彼女と腕を組んでいた。「探しちゃったワ。私がいないト、周りがうるさいかもしれないかラ」そう言いながら、ドミニカはぐいぐいとヤコブの腕を引っ張ってロミーナの隣に並ぶ。ヤコブはそのまま大人しくついて行く。前世でも、かかあ天下だったのが目に浮かぶようだ。実際、私達やドミニカの登場でロミーナへの嫌味な視線や陰口は鳴りを潜めていた。そりゃ、友好国となったライハラ連合国の令嬢と、養女になった成績優秀者。文句なんて言おうものなら外交問題だ。そんな様子を見て、私はほっと胸を撫で下ろした。「良かったな」「ええ」シヴァも二人を見て口元が緩んでいる。身分差のことなどを考えると、彼も結構ロミーナに同情と共感を覚えていたのかもしれない。そんな彼女が、なんとかああやって幸せそうにしているのだ。安心したことだろう。それからメロディと共に談笑しながらケーキや軽食を摘まんでいると、一斉に楽器が鳴らされた。王族入場の合図だ。私達は手を止めて、ホールの上座を見つめた。壇上のカーテンが開けられ、王族達が顔を出す。そこにはアレクサンドと腕を組んだイザベラもいた。お揃いの黄金色のドレスが目に眩しい。きっちりと髪をアップに結い上げたイザベラの蜂蜜色の髪に、よく似合っている。陛下と王妃様が玉座に座り、奥の左右の席にアレクサンドとイザベラ、レオナルドがそれぞれ座った。「……行ってくる」「私も、失礼しますね」
Last Updated: 2026-04-20
Chapter: 第263話
「リリアンナ嬢! こんばんは!」振り返れば、メロディが立っていた。今日の式で正式に魔導士団への入団が認められるのだ。彼女もまだデビュタント前だが呼ばれていたようだ。華やかな桜色のドレスが、ストロベリーブロンドによく似合っている。赤い花模様や黒い手袋はステファンの色だろうか。ステファンから贈られたのだろうと想像すると顔がにやけてしまう。「イザベラ嬢がいないんですけど、どこに? せっかくだからご挨拶したくって」「アレクサンド様の婚約者として一緒の入場なんでしょうね。彼女はもうデビュタントも終わっているし」私の言葉にメロディは納得したように頷いた。「ステファン様は?」「今日は側近としてアレクサンド様の護衛に……お仕事なのでしょうがないですね」少し気にしていたのか、寂しそうに笑う。そんな彼女を励まそうと、私は耳元に口を寄せた。「仕事をするようになれば、ずっと一緒にいられるわね」「はい!」私の言葉にメロディが笑顔を取り戻す。その様子を見て、パートナーのいない彼女と一緒に過ごすことに決めた。メロディは私達のことを、キラキラとした目で見ている。彼女には話したし、昔馴染みであり秘密の関係だった私達が並んで立っているのが興味深いのだろう。三人で一緒に談笑していると、シヴァから腕をつつかれる。何事かと思い顔を上げると、彼の視線の先。壁際の隅の所に二人で立つ、セドリックとロミーナが見えた。明らかに人目を避けている。まあ、裁判でドミニカの家の養子になると伝えられたとはいえ、犯罪者の娘という周囲の目は変わらない。ロミーナとしては気まずいだろう。メロディにも合図をして、私達は彼女達の所へ向かった。このまま俯いて過ごすなんて、そんなのダメだ。見過ごせない。近づいてみると、二人は何
Last Updated: 2026-04-20
Chapter: 第262話
この前送られてきたプレゼントがこれだった。美しい白いシルクに白銀の刺繍が入れられたドレス。露出は控えめでシンプルながら、ドレープの美しさと淡い紫色のグラデーションが映えている。胸元や腰にあしらえられたリボンや宝石は、シヴァの瞳と同じ空色だ。このドレスに合わせて、髪は項が見えるようにまとめてもらった。編み込まれた空色のリボンと、長く垂れた白いシフォンが花嫁のベールのように靡いている。互いの色を纏ったお揃いの衣装だ。誰がどう見ても、ここがペアと言うのは分かるだろう。実際、私が入場してから視線を向けていた男性達が、シヴァの登場と同時に一斉に目を逸らしたのだ。シヴァの所に居た女性も同様。まあ、公爵令嬢とアレクサンドに認められた元王子という組み合わせには、誰も入り込もうと思わないだろう。ずっと、こうなりたかった。公の場で、私にはシヴァしかいないし、シヴァは私のものなのだと胸を張って主張したかったのだ。「ご機嫌だな」「だって、ずっとこうしたいって思ってたんだもの」小声で囁き合う私達を、傍にいたお父様が微笑ましそうに眺めている。そんなお父様に笑顔を向けると、邪魔にならないようにか他の貴族との社交に行ってしまった。これで完全に二人だ。「王宮では何をしていたの?」「この後の爵位授与式の打ち合わせやら、アレクサンド殿下の側近になるのにどこ配属になるとか」「なかなか忙しそうね」「まあな」そう呟くと、シヴァはまじまじと私のドレスを眺めた。「……合間にデザイナーを呼んでオーダーメイドしたんだ」私も一歩離れ、くるりと1回転して彼にお披露目する。そんな忙しい合間に、こんな素敵なドレスを準備してくれていたのだ。彼には感謝しか無い。「リリーによく似合ってる」「ありがとう! シヴァも凄く素敵よ」お互いに褒め合うと
Last Updated: 2026-04-20
Chapter: 第261話
ドミニカの邸宅には、ヤコブも来ていた。彼はドミニカの私室でコーヒーを飲んでいる。「……やっぱり、苦い」「まだまだ改良が必要ね」渋い顔をしているヤコブを見て、ドミニカは眉を顰めながら何かをメモしていた。そんな彼女をチラッと見ると、ヤコブは再び目を逸らす。ドミニカは役目を終え、もうすぐ帰国する予定だ。学園も、もうとっくに留学を終える通知を出している。二人が会えるのは、後数日しかない。……まあ、ヘルトル家の了承を得たら、結局ヤコブがドミニカの所へ行くことになるのだが。「パーティまではいるんだっけ?」「そうよ。ロミーナのことも見届けて、お父様に報告しないとね」「……申し訳ないな。我が家はレスピナス家よりも家格は下だし、経済力もない。せっかくのパーティなのに、何もあげられないや」少し落ち込んだように呟くヤコブは、ぐいっと残りのコーヒーを飲みほした。空になったカップを机に置くと、いつの間にかドミニカが目の前にいた。「何言ってるのよ。私が貴方に与えるのよ。大人しくプレゼントを待つような、そんな女々しい人間じゃないのは知ってるでしょ?」いつの間にか、ドミニカは手袋を外していた。素肌で、そっとヤコブの頭を抱える。「今度は百年一緒に生きましょう」「人間の寿命はせいぜい120年。この世界の医療技術から考えても、せいぜい70歳がいいところ……」「もう! 情緒がない! それでも乙女ゲーム制作者なの⁉ 寿命なら私が研究して伸ばしてやるわ!」「痛い痛い痛い……」抱きしめたヤコブの頭部をドミニカがきつく締めあげる。頭蓋骨の悲鳴を聞きながら、ヤコブはパタパタと降参するように腕を動かした。***
Last Updated: 2026-04-20
Chapter: 第260話
「……懐かしいですね」「ああ」その路地は、二人が出会った場所だ。男達に囲まれても負けずに立ち向かい、子供を守ろうとした少女。それがメロディだった。メロディは今もあの頃と変わらない明るい笑顔を見せてくれる。それが、ステファンにとってはありがたかった。「あ、お姉ちゃん!」声がして振り返ると、そこにはあの時の子供がいた。二人を見て走ってくるその子は、あの時よりも随分体格が良くなっていた。明らかに痩せいていた過去と違い、今は頬もふっくらと丸みを帯びている。「あれ? 今日はあの時のお兄ちゃんも一緒だね。あの時はありがとうございました!」背の高いステファンを見上げて、子供は笑顔でお礼を言う。そんな様子を見て微笑むと、ステファンは地面に膝を付き子供と同じ目線になる。彼に頭を撫でられ、その子は嬉しそうにしていた。「あれからたまに様子を見ていたんです。お父様がご病気で働けなくてこの子も仕事に出ていたそうですが、今は全快して働く必要もないようです」「教会でお勉強したりしてるよ。あとは、家のお手伝い」「また今度、遊びに行かせてね」「うん!」遠くから名前を呼ぶ声が聞こえる。子供は顔を上げると、慌てて声の方へ駆けていった。もちろん、メロディとステファンに向かって手を振ることも忘れない。笑顔で元気に手を振り返すメロディを、ステファンは温かい目で見守っていた。視線に気づき、メロディははっと動きを止める。「あ、寄り道しちゃってすみません! 大荷物も持っているのに……」「いや」メロディは慌てて箱を持ってあげようとするが、ステファンは荷物を高く掲げて彼女の手に届かないようにした。そのままの勢いで、メロディが彼の胸に飛び込んでいく。「……惚れ直した」耳元で囁か
Last Updated: 2026-04-19
Chapter: 第259話
昼食の時間。いつものメンバーが顔を合わせる。セドリックとマルグリータも合流し、一気に賑わいが増してきた。今日は私の復帰祝いなのか、食事もいつもより少し豪華な気がする。「お帰りなさい、リリアンナ嬢」「ただいま。セドリック様は、ロミーナとの関係はどうなの?」「父上には婚約申込書にサインしてもらってましたからね。黙って提出してしまおうかと」「……それ、怒られないかしら?」ちょっと心配ではある。確か彼は父親だけで母親はいないはずだ。その唯一の親と揉めなければいいのだが。ロミーナに落ち度はないとはいえ、罪人となったアマトリアン辺境伯の娘。しかも、ライハラ連合国に養子にもらわれていった娘だ。結婚して嫁ぐのは簡単ではないだろう。そうはいっても、セドリックの表情は明るく、嬉しそうだ。二人でなら、なんとかやっていけるのかもしれない。「セドリック様も、この一年ずっとソワソワしていましたから。今は嬉しそうで安心しましたわ」マルグリータが隣で笑っている。乳白色の髪を今日は下ろし、アップルグリーンのカチューシャを付けている。シンプルな髪型だが、元が良いのでよく似合っていた。「そういえば、メロディ嬢の方はどうなっているの? ステファン様との婚約の件」メロディは話を振られて、頬を赤く染めて慌てている。ロミーナという婚約者がいたため、変な噂が出る恐れもあり二人の関係はずっと進まずじまいだった。元々ステファンが奥手というのもある。ゲームではロミーナを断罪したことで、正義はステファンにあると明確に示され誰からも反対されることはなかった。しかし、今はそうはいかない。とはいえ、もう婚約解消してから約一年が経つのだ。その間にこれだけの騒ぎが起こったし、もう二人が婚約したところで変な噂は立たないだろう。「えっと…&hell
Last Updated: 2026-04-19
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