My Lycan Prince

My Lycan Prince

last updateLast Updated : 2024-09-13
By:  AmirahOngoing
Language: English
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Synopsis

Mercy is not very popular in her pack, no one likes her, including her very attractive twin. Things become worse whe fate presents her mate in the form of Eke Wolves, who happens to be Marcy's boyfriend. Mercy faces rejection, not that she's not used to it. After facing embarrassment from her family and her pack, she decides to run away and start her life afresh, with the wounds of her past still fresh on her mind, what would she do? "So you're saying that you want me, a villain, to help you catch another villain?" I scoffed. "Yes, that's what I'm asking for." "But that makes you a criminal by association, prince." He sighed and looked at me with weary eyes. "I'm doing it for justice."

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Chapter 1

Chapter One: Mercy.

「和彦、もう一回できる?」

窓際の自分の影をしばらく見つめながら、水村美穂(みずむら みほ)はゆっくりと口を開いた。声はおだやかで優しかった。

後ろに立っていた陸川和彦(りくかわ かずひこ)はコートを羽織り、だらしなく開いた襟元から、赤く染まったくっきりとした鎖骨がのぞいていた。

ボタンを留めていた手を止め、彼は整った眉をわずかに伏せてから、問い返した。

「そんなに乗り気か?」

二人が結婚してもうすぐ三年だ。会うことはめったになく、会っても淡々と過ぎるだけで、体を重ねる回数も指折り数えるほどだった。

やがて、一緒に食事をしたら、それぞれの部屋に戻るだけになってしまった。

だから美穂がもう一回と言い出したとき、和彦は少し驚いた。

彼の黒い瞳に、一瞬だけ真剣な色が宿った。

美穂は指をぎゅっと丸めて、服の裾を揉むと、シワを摘みながら視線をそらした。

滅多に見せない恥じらいの仕草が、男の中に眠っていた衝動をかき立てた。

天井のライトが、淡く光の輪を作った。

肝心なときに、美穂は唇の端を噛み、小さな声で言った。

「その……ゴム無しで、いい?」

男の動きがピタリと止まった。

情熱にあふれていた部屋が、一瞬で凍りついたように静まり返った。

美穂はそっと目を閉じ、両手を男の肩に添えた。張り詰めた弓のように緊張した背中が震え、そこには戸惑いがにじんでいた。

しばらくして、男の低く冷たい声が耳に届いた。

「理由は?」

まさに彼らしい淡々とした口調で、冷酷無情な態度だった。

「お義母様が、孫の顔見たいって」

美穂の声はかすかで、唇の端は噛んで少し痛んでいた。そして、間を置いてから、落ち着いた口調で言った。

「知彦、私たち、もう結婚して三年よ」

彼女は彼を注意している。

陸川家は立派な名家だ。そして、和彦はその長男だ。彼は今年で二十八歳になるが、まだ跡取りはいない。

美穂の脳裏に、新婚初夜のことがよみがえった。

彼が一番親密なことをしている最中にもかかわらず、子供なんて欲しくないと冷たく言い放った。

まるで冷水が頭から浴びせられたように、彼女の満ちあふれる熱意を打ち消した。

彼女という政略結婚の相手が嫌いだから、その子供までも嫌っているのだ。

だが、彼女にはどうすることもできなかった。

なぜなら、和彦は幼い頃から彼女がずっと恋い慕っていた人だから。

もう嫁いでしまった以上、両家の利益は絡み合っている。彼女は今さら後戻りなんてできなかった。

虚しさが押し寄せてきて、美穂は慌てて気を取り直した。

彼女は疲れ切った体を支えて、座り上がった。滝のような黒髪がしなやかに白皙の背中を覆い、前に垂れている数本の髪が、かろうじてまだらな赤い痕を隠していた。

男は背を向けてベッドを降り、その長身でライトの光を遮った。

彼女は薄暗い影に包まれ、まるで存在感のない空気のように静かだ。

ゆっくりと服を着直した和彦は、うつむいたまま、端正でくっきりとした横顔を見せ、骨ばった手で眼鏡を取り上げてかけた。

銀色の細長いフレームが美しい眉骨にちょうどかかり、いくぶん上品さを際立たせていた。

「美穂」

和彦は袖口を整え、そのきっちりとした袖口の縁からは圧迫感が漂っていた。

彼は冷たく見下ろし、ぼんやりしている女性を淡々と睨みつけた。

「結婚前に言ったはずだ。欲張らない方がいいって」

「そんなんじゃない!ただ……」

美穂は思わず反論した。

彼女は本当に欲張ることなどしていない。この三年間、彼のルールはしっかり守ってきた。

「お義母様の催促がきつくて、どうしようもなかったの」

美穂は布団を握りしめ、指先が深く食い込んだ。力を入れすぎたせいで、手がわずかに青白くなっていた。

「お義母様に説明してくれるなら、私だってそう言わなかったわ」

和彦は眉をわずかにひそめ、美穂を見つめた。

真っ白な布団が丸まって、女性の細い腰を包み込んだ。

美穂の美しい頸はそっと上を向いたまま、みずみずしい瞳にはかすかな涙がたまっていた。

悔しさを湛えながらも、彼女は真剣なまなざしで彼を見つめている。

和彦は視線を下げ、じっと二秒見つめた後、低い声で言った。

「わかった」

そう言い残し、彼はそのまま出ていった。

カチャッという音とともに、寝室のドアが開き、そしてまた閉じられた。

男の冷たい言葉だけが、耳の奥に残った。

美穂の身体に残っていた温もりが、じわじわと失われていく。目元に溜まった涙が、ぽろぽろと大粒で落ちた。

ほんの一瞬のうちに、彼女は一応冷静な表情を保ちながら、涙の跡を拭って、手のひらで顔を覆った。

和彦と結婚すると知ったとき、彼女はあんなに嬉しかった。

なのに、どうしてこんな風になってしまった?

長い時間が過ぎ、気持ちが少し落ち着いた頃、美穂は重い足取りで洗面所へ向かった。それから、散らかった寝室を片付けた。

陸川家の大奥様である陸川華子(りくかわ はなこ)が二人の仲を深めさせようと、使用人を雇ってくれなかったため、家のことはすべて美穂の仕事だ。

どうにか眠れるだけのスペースを確保すると、美穂は力尽きてベッドに身を投げた。

彼女は目を閉じ、眠ろうとした瞬間、スマホの着信音が鳴り響いた。二秒ほど迷ってから、観念するように目を開けた。

「若奥様、大変です!社長と秦家次女の親密な写真を撮られました。すでにニュースになってます!」

美穂は一瞬、固まった。

電話の相手は和彦の秘書だった。

思考が止まる中、小林(こばやし)秘書の声が続いた。

「星エンターテイメントが撮った写真です。秦家次女が社長をホテルへ連れて行く場面です。角度がかなり親密に見えます……」

外では稲光が走り、窓ガラスに映った美穂の顔が青白く浮かび上がった。鎖骨の噛み跡だけが、やけに赤く目立っていた。

美穂はスマホを握りしめ、爪がシルクのシーツを引っかく音が響いている。

「今どれくらい拡散してる?広報部に連絡して、三つのプランを用意させて。まずはトレンドから削除して、それから声明を出して……」

土砂降りの雨が窓を叩く音が、彼女の最後の言葉をかき消した。

美穂は窓辺に歩み寄り、視線を落とすと、庭に咲いていた櫻の花が、嵐に吹き飛ばされ、無残な姿をさらしていた。

まるで、彼女がベッドサイドの一番奥に隠していた検査結果のように……

昨日、子宮筋腫と診断された時、医師に「放っておくと妊娠に影響するかもしれません」と言われた。

彼女は医師に聞いたのだ。

早期なら妊娠できるが、手術すれば、一年は性行為も妊娠もできなくなる。

「若奥様?」

沈黙に耐えかねて、小林秘書がそっと聞いた。

「社長にも知らせますか?」

美穂の指先は、冷たい窓枠の上で縮こまっている。

彼女は三時間前、和彦が離れる際の表情を思い出した。その表情、冷たかった。

「いいわ」

彼女は最も穏やかで冷静な口調で話した。

「彼の仕事の邪魔をしないで」

通話を切ると、スマホの画面が光り、ロック画面の写真が浮かび上がった。

それは昨年の家族の宴で、華子に強要されて撮られたものだった。

和彦は少し親しげに彼女の肩を抱きながら、端正な顔立ちにかすかな微笑みを浮かべていた。しかし、その笑みは心からのものではなかった。

スマホがまるで手のひらを焼くかのように熱く感じられ、美穂は思わず手を振って放り出した。

直後、また電話が鳴った。見慣れた本家の番号だった。

美穂は全身がかすかに震え、歯を食いしばってから、ようやく落ち着いて応答ボタンを押した。

「若奥様、大奥様が明朝、本家に来てほしいとおっしゃってます。あなたの朝食が恋しいそうです」

深夜二時を過ぎても眠れていない。

どうやら、和彦が秦莉々(はた りり)と夜に会ったというスキャンダルを聞き、美穂に問いただすつもりでいるようだった。

果てしない疲労感が心を押し寄せる中、美穂は長いまつげを伏せたまま、瞳の奥に複雑な感情を漂わせ、小声で応えた。

「わかった」

そう言い終わると、通話が切れた。

寝室に、静寂が戻った。

しばらくして、美穂は低くため息をついた。もはや眠気はなく、彼女は起き上がると、華子が指定した朝食の準備に取りかかった。

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