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第89話

작가: こがね
【もしもし、涼平】

【もしもし、涼平……】

何度も何度も、その音声が再生される。

小太りの涼平はスマートウォッチを誇らしげに高く掲げ、まるで神聖な金メダルでも手に入れたかのように和紀の横を通り過ぎ、挑発的に顎をしゃくってみせた。

ランドセルを背負った和紀は、静かにその様子を見つめていた。

ついに、何度目かの再生が始まったとき、和紀が口を開いた。

「そんなに鳴らしてると、電池切れますよ」

涼平は絶句した。

「ほっとけよ。余計なお世話だ」

「お世話なんかしてません」

涼平は「こいつとは話が通じない、絶対に頭のネジが外れてるんだ」と確信した。

「いいか、言っとくけどな」

涼平は毎日ビクビクして過ごすのは御免だったので、はっきり白黒つけることにした。

「お前、ママいないの?パパは嫁いないの?なんでずっとうちの奈々美を奪おうとするんだよ」

和紀は数秒間静止し、彼をじっと見つめた。そして、何も言わなかった。その視線に、涼平は薄気味悪さを感じる。

「……なんだよ」

和紀はふいと視線を外した。

「それは、僕が言いたい言葉です」

「……はぁ?」

そこへ、稔の運転する
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