瑠璃の非難に満ちた視線を受けながらも、隼人の表情は微動だにしなかった。「そうだ。今でも俺は同じことをする。もうあの薬は飲ませない」隼人の言葉に、瑠璃の指先が力を失い、胸に激しい痛みが走った。「隼人……もう一度言ってみて」「千璃、絶対に君に、あの薬は飲ませない」「――パチン!」瑠璃の平手打ちが、隼人の頬を打った。彼女の両手は震え、脳裏は混乱でいっぱいだった。思考の引き裂かれるような痛みは、呼吸すら苦しくさせた。眉を寄せて沈黙する男を見つめながら、瑠璃の瞳には失望の色が広がっていた。「隼人、あなたって一体どういう人間なの?私が死ぬのを見たいの?それともお腹の子が死ぬのを望んでるの?私と子どもをここまで無視しておいて、どうして以前はお前だけだなんて嘘をついたの?」赤く潤んだ目で黙ったままの彼を見つめながら、彼女は手を放した。「江本恋華のことが好きになったの?あんな恥知らずな女を愛するようになったの?だったら、祝福してあげるわ」瑠璃は隼人を突き飛ばし、部屋を出ようとした。隼人はすぐに彼女の前に立ちはだかった。「どこへ行くつもりだ?」「南川先生のところへ行って、薬をもらうの。私にこの子を産ませたくないのなら、私は逆に絶対に生き延びて産んでみせるわ。どいて!」彼女は隼人を押しのけようとしたが、彼は彼女を抱きしめて放さなかった。「絶対に、南川のところへ行かせない。あの薬も、もう飲ませない」その腕の強さに、瑠璃の心はさらに冷え切っていった。彼女の瞳から、ぽろぽろと涙が落ちた。「隼人……南川先生の薬を飲まなきゃ、私も子どもも死ぬのよ。……それでも、私が死んでほしいの?」隼人は、泣きじゃくる瑠璃の顔を見つめ、胸が張り裂けそうだった。彼女の涙が心に突き刺さるように熱く響いた。彼は彼女の頬にそっと手を添え、涙を拭いながら深い眼差しで言った。「千璃、君に生きていてほしい。だからこそ、あの薬を飲ませるわけにはいかないんだ」「……でも、薬をやめたら、私も子どもも生きられないの」瑠璃は必死に言い返した。彼女は忘れていなかった――監獄の中で、南川先生の薬で命をつないで、君秋を無事に出産したあの記憶を。今回も、あの薬しか頼るものがない。隼人を押しのけて南川先生を探そうとした瑠璃だったが、隼人
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