さらに、彼女の名義の実験室は消防基準に達していないという通報を受け、是正処置を講じられている。今もまだ完了していない。その間、当然ながら学術的な成果など出せるはずもない。だから定例会で、奈津のチームはこれまで以上に静かな様子だった。浩史はこれまで、毎回牙をむき出しにして、いつでも噛みついてきそうな野犬だったのに。今は異常に大人しい。那月の顔色も良くない。実験室が是正処置を受けたため、彼女がようやく奈津から勝ち取った研究課題も水の泡となってしまった。奈津に別の課題を割り当ててほしいと頼んだが、逆に叱責された――「課題!また課題だと!私だって課題が欲しいわ!今は実験室が是正を要求されている。どの課題も手がつけられない。どこで課題を探せというの?!」「それに、仮に私の手に課題を握っていたとしても、あなたは本当に進捗についていけて、実質的な成果を出せると思う?」「能力以上に要求しないで、人間は自覚を持つことが大切よ!大学院生なら誰でも学術に向いているわけじゃない。学術をやる者が皆成果を出せるわけでもない。本当に自分を学術の天才だと思っているの?自分を雨宮凛だと思ってるの!?」この一連の叱責で、奈津の唾が彼女の顔にかかりそうになったくらいだ。幸い那月は素早く身をかわし、嫌悪の表情も隠さずに言った。「上条先生、私に設備を買わせた時は、こんなことを言ってませんでしたよ!一点はっきりしてほしいですが、この研究チームに参加する件は、私からのお願いでも相談でもなく、最初から取引だったんです」「私が金を出す。あなたが課題を提供してくれる。互いの合意によるものです。今私は金を払ったのに、あなたは約束を破りました。商売にはなりませんわ」那月は今や奈津に対する幻想を完全に失ってしまった。この人はただの「俗物」「貪欲」「心が狭い」、つまり学術界のニセモノだ。少しも尊敬する価値がない。「それから、そんな言葉で私を戒めようとするのはやめたほうがいいわ。なぜなら――」彼女は一言一言区切って言った。「私にはそんなの通用しないから!」「半月以内に研究チームを見つけて私に入らせてちょうだい。その課題があなたのものでも他人のものでも構わない。とにかく、私を入れなさい!わかった?!」彼女には学術上の経験が必要で、もちろん最も重要なの
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