Semua Bab 秘めた過去は甘酸っぱくて、誰にも言えない: Bab 171 - Bab 180

325 Bab

―スピンオフ― 変わらぬ愛情・優しい心 『黒柳リュウジ✗芽衣子編』3

「芽衣子、イライラしてるみたいだから……帰るね」すっと立ち上がったリュウジを睨んだ。話し合う気もないのだろうか。私は真剣に言っているのに……。「もう、来ないで」「…………なんで?」「リュウジのマイペースな性格に付き合いきれない。私は、あなたとじゃなくて、言われた通り結婚したいだけなのかもしれない。……だから、婚活する」「…………ふーん。じゃあね」バッグを持ったリュウジが玄関に向かって歩き出す。立ち上がった私は「待って」と声をかける。「合鍵、返して」リュウジの背中に向かって手のひらを広げる。振り返ったリュウジは眉間に皺を寄せた。バッグに手を入れてキーケースを出す。「今は……大樹を祝福する時だと思わない?」「祝福してるわよ。あの二人が不幸になれなんて言ってない」合鍵を手のひらに置かれた。ひどく冷たい気がする。その鍵を見てリュウジを引き止めたくなった。ずっと側にいたい。けれど、リュウジには結婚願望がないのだ。「芽衣子、イライラすると呑み過ぎるから気をつけてね。おやすみ」いつものように頭をポンポンポンと三回叩く。「今まで、ありがとう」せめて最後は感謝の気持ちでサヨナラをしたいと思い、言葉を投げた。リュウジは眉毛を下げて困ったような表情を見せて家を出て行った。ドアが閉まった途端、私の瞳からは涙がこぼれ落ちた。自分で選んだ道なのだ。後悔してなんか、ない。これ以上一緒にいると苦しくて耐えられないだろ。私は、リュウジと過ごした五年間をリセットできるのだろうか……。
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―スピンオフ― 変わらぬ愛情・優しい心 『黒柳リュウジ✗芽衣子編』6

「芽衣子が合コン設定しろなんて、珍しいね」友人の広江と少し早めに落ち合ってお茶をしていた。奇しくも店内にはCOLORの音楽が流れている。「婚活しなきゃって思ったの。このまま一人っていうのも寂しいしね」「そっか。そうだよね。だんだんと年齢を重ねると相手すらしてもらえなくなるもんね」目の前に座っている広江もバリバリ仕事をしているOLだ。かなりの美貌のため今までは遊ぶことに命をかけていたらしい。そのために、握手をするだけでその人がどんなセックスをするかわかってしまうのだとか。ある意味特殊能力だと思う。「私も落ち着かなきゃって思うけど、心から好きだと思えた人がいなくてね」――心から好き。私はリュウジのことが心から好きだった。テレビで見せる表情とは違って、私といると安心した表情を見せてくれた。一緒に眠って目が覚めた時は、いつも私の体に触れていて絶対に離してくれなかった。「芽衣子」っていつも甘えられたけれど、私が落ち込んだ時はしっかりと抱きしめてくれて背中を擦ってくれた。お互いに必要な存在だと思っていたのに……。「今日の相手は弁護士さんだから、絶対ゲットしてよね」「あ、うん……。ありがとう」「COLORっていい曲歌うよね」店内の音楽に耳を傾けて軽くリズムを取っている。「芽衣子の会社ってCOLORも所属してるんだよね? 会ったこととかあるの?」「まあ、一応ね……事務所には来るから」なるべく避けたい話なのに、COLORが有名すぎて避けて通れない。「いいなぁ」「でも私は普通の事務員だしそんなに関わることはないかな」「へぇ」
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―スピンオフ― 変わらぬ愛情・優しい心 『黒柳リュウジ✗芽衣子編』7

時間になり合コンの場所へと向かった。そこには椅子席の個室に男女が三人ずつ集まっていた。和食が並び料理はとても美味しいが、合コンなんて慣れていないから緊張してしまう。私の隣に座ったのは、同じ年の男性で印象のいい人。弁護士ってお固いイメージがあったけれど、くだけて楽しそうに呑んでいた。「へぇー芸能関係の事務員なんだ? 芸能人に誘われたりしないの?」「まさか。綺麗なタレントさんや女優さんがいっぱいいるので、私なんて相手にされませんよ」実際にあまり声をかけてもらったことはない。そう考えると、リュウジは特別だったのかな。「芽衣子さん、綺麗ですよ。普段、合コンなんて来ないのですが。今日は芽衣子さんに出会えたから参加できてラッキーだった」「ありがとうございます」仕事も安定しているし素敵な人だし、人当たりもいい。きっとこういう人なら両親も安心してくれるだろうな。「連絡先、交換していただけませんか?」「はい」「今度は二人でデートしましょう」「……あはは」一気に距離を縮められるとまだ抵抗がある。男イコールリュウジだったから。彼はそんなにグイグイくるタイプじゃなかった。今まで植え付けられたものはなかなか拭えない。「イタリアンで美味しいところ知ってるんですよ」「素敵ですね」もしも、リュウジとイタリアンに行ったらどれほど楽しいのだろうか。いちいち思い出してしまう自分に嫌気がさす。合コンを終えて家に帰ると彼からメールが届いた。『本当に楽しかったです。また、会いたい』でも、まったくときめかない。はじめからときめくような恋なんてないかもしれないけど、それ以前の問題だと思う。リュウジを忘れるために婚活をしているから……ダメなんだ。
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―スピンオフ― 変わらぬ愛情・優しい心 『黒柳リュウジ✗芽衣子編』9

   *いつも通り仕事をしていた。美羽さんは元々会社勤めしていたおかげで、仕事が早い。覚えるのも早いしこのまま働いてもらいたいけど、結婚して子供ができてしまえばそうはいかないだろうな。金銭的には余裕があるし、子供のそばにいてあげるほうがいいに決まっている。「お疲れ様」気怠そうな声で入ってきたのは、黒柳リュウジだ。別れた元彼女がいるのによくもまあ、ノコノコと来られるものだって、彼が所属する事務所だから仕方がないか。そして、当たり前のように、私の隣の椅子に腰をかける。リュウジは、お昼寝を開始する。……でも、私はショールをロッカーから出してかけてあげない。スースーと寝息が聞こえてきた。なんて、マイペースな男なのだろうか。「先輩、合コン行ったんですよね? どうでした?」今月から入社した正社員の若林セイナちゃんが興味津々に聞いてくる。まだ二十四歳なので恋愛話に興味がある年頃なのだろう。目を輝かせて質問してくるのだ。しかも、リュウジがいる前で……。美羽さんは驚いたような表情を向けてきた。ピタッと寝息が止まった。もしかしたら、リュウジは意識が戻っているのかもしれない。でも、構わない。私とリュウジは関係ないのだから。「声をかけてくれた人がいてね。いい人だったよ」「先輩、とても美人ですしね。男は放っておかないと思いますよ。デートの約束したんですか?」「あぁ……うん。お誘いしてくれたけどね」「職業は?」「弁護士なの」「いいな。じゃあ結婚も間近ですね! 美羽さんも、芽衣子さんも結婚かぁ」昼下がりの事務所がほのぼのとした。ちょっと、気が早いんじゃないかと思ったけれど、反論するのも面倒だから何も言わずにキーボードを打ちはじめる。カタカタと音がして静まり返った。「合コンで知り合って結婚したってうまくいくわけないじゃん」リュウジの声が響いた。椅子の背もたれに体重をあずけたまま、リュウジは言葉を続ける。「合コンなんて、いい部分しか見せないだろうし。たった一回会っただけでその気になるなんて逆に怪しい。弁護士なんて口がうまいに決まってる」「言われてみれば……そうかもしれないですね」セイナちゃんが納得したようにうなずく。美羽さんは複雑そうな表情をするだけで、話に加わろうとしない。「……ありえないね」リュウジは鼻でふんっと笑う
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―スピンオフ― 変わらぬ愛情・優しい心 『黒柳リュウジ✗芽衣子編』10

気まずい空気が流れている。リュウジのせいなんだから。イライラしていると、セイナちゃんは遅めの昼休憩を取るため事務所を出て行く。美羽さんと二人きりになった。「別れたの」さっぱりした口調で教えると、美羽さんは驚いた表情を見せた。「え、でも……黒柳さん、芽衣子さんのこと好きだと思いますけど……」「それはどうだろうね。元々不釣り合いだから。幸せに結婚がしたいな。平凡でいいの」強がっているように聞こえちゃったかな……。リュウジとじゃなくたって、幸せになってやるんだから。「あの、果物言葉って知ってますか?」「え?」「付き合いだした日っていつですか?」「えっと……たしか、八月十四日……だけど」突然、わけの分からないことを言い出した美羽さん。何かをパソコンで調べはじめた。もうすぐ八月十四日がやってくる。あと二週間くらいか……。「あ、ありました。桃ですね! 変わらぬ愛情・優しい心ですって。これ、結構当たるんですよ!」「変わらぬ愛情……か」「ちなみに、私と大くんは十一月三日で『相思相愛』だったんです。私、フルーツメーカーにいたので……」「ああ、なるほど」美羽さんは一生懸命励まそうとしてくれている。いつまでもくよくよとしていてはいけない。少し、心が温かくなった。
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―スピンオフ― 変わらぬ愛情・優しい心 『黒柳リュウジ✗芽衣子編』12

仕事を終えて帰宅したが、気分が優れない。芽衣子に会えないだけなのにこんなにも調子が狂うなんて思わなかった。大きな仕事が決まったのだが、海外の有名なアニメ映画の吹き替えをすることになった。大ヒット間違いない映画だ。仕事も増えるだろうな。しかも主人公をやらせてもらえるんだから、たまらなく嬉しい。こんな日は美味いものを食べながら、芽衣子と一緒に喜びたい。芽衣子も自分のことのように喜んでくれるだろうな。芽衣子に出会えて好きな人と楽しみを共有する幸せを知った。俺は、芽衣子に出会ってなかったら、とんでもない勘違い野郎だったかもしれない。俺との関係を人に言うなと伝えたのも、芽衣子が大事すぎるからだ。第三者の手によって壊されるなんて、たまったもんじゃない。「芽衣子…………」ソファーに座って目を閉じる。結婚か。考えなかったわけではない。俺は一生、芽衣子といると思っていた。どうして急に怒りはじめたのだろうか。考えていても時間が過ぎて行くだけだから、まずは風呂に入るか。ゆっくり立ち上がってバスルームに向かう。風呂に入ってぼーっと考える。――今まで、ありがとう……なんて言われた。まるでお別れの挨拶のようだった。ありえないよな。俺と芽衣子は愛し合ってんだもの。ベッドに入ると、芽衣子の肌を思い出す。胸のあたりがざわついて、妙な気持ちになる。そして、芽衣子の快感に溺れている表情を脳裏に思い浮かべる。何年も芽衣子とばかりしているのに、芽衣子でしか満足できない。早く仲直りしたい。芽衣子に会いたい。家の前で待ち伏せして週刊誌に撮られても困るし。
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