Home / ミステリー / クラックコア / Chapter 151 - Chapter 152

All Chapters of クラックコア: Chapter 151 - Chapter 152

152 Chapters

第088-1話 魅力的な提案

自宅にて。 ディミトリは剣崎と連絡を取る事にした。「むぅーー……」 ディミトリは机の引き出しに放り込んでおいたクシャクシャにした名刺を広げながら唸っていた。 あの男から有利な条件を引き出す交渉方法を考えていたのだ。(ヤツは俺がディミトリだと知っているんだよな……) それどころか邪魔者を次々と処分したのも知っているはずだ。なのに、逮捕して立件しようとしないのが不気味だった。(金にも興味無さそうだし……) 金に無頓着な人種もいるが稀有な存在だ。自分の身の回りには意地汚いのしか寄って来ないので都市伝説ではないかと疑っているぐらいだ。「ふぅ……」 ディミトリは考えるのを諦めて、携帯電話に電話番号を入力した。 剣崎は電話が来ることを予見していたのか、直ぐに電話に出たきた。『やあ、そろそろ電話が来る頃だと思っていたよ』 相変わらずの鼻で括ったような物言いだった。ディミトリは携帯電話から耳を離し、無言で携帯電話を睨みつけた。「ああ、そうかい。 少し逢って話をしたいんだが……」 気を取り直したディミトリは挨拶もせずに用件を伝えた。『別に構わないよ。 何処が良いんだね?』「デカントマートの駐車場はどうだい?」『ふむ。 いざと成れば手軽に行方を眩ませることが出来るナイスな選択だね』「人目が有った方がお互い安全だろ?」『アオイくんを迎えにやるよ』「分かった」『アオイくんは私の命令で見張りに付いていたんだ。 殺さんでくれたまえ』「分かったよ…… 家の前で待っている」 自宅の前で待っていると、車でアオイが迎えに来た。 ディミトリは後部座席に座り、自分の鞄から反射フィルムを取り出した。これは窓に貼るだけでマジックミラーのようになるものだ。 貼っておけば狙撃者
last updateLast Updated : 2025-05-02
Read more

第088-2話 さ・が・し・も・の

「市販の灯油では、十分もしない内にエンジンが駄目になってしまう」「……」 剣崎はディミトリが灯油を買った理由を看破していたのだ。「ちっ…… もう少し男前に撮ってくれよ……」 何もかも見透かしている剣崎相手に、ディミトリは悪態を付いてみせた。「君が大人しく日本を出ていくようだったから何も言わないつもりだったんだがね……」(クソッタレが…… 日本から脱出する事を知っているのか!) つまりディミトリの携帯電話は盗聴されていると言う事だ。 まあ、国家の諜報機関であればそれぐらいは出来てしまうのだろう。「だが、少し事情が変わってきた……」「事情?」 今度はディミトリが怪訝な表情を浮かべた。「君に或る物を探して欲しいんだよ」「俺は探される方だと思っていたがね……」 剣崎はディミトリをちらりと見て、懐から写真を一枚取り出してみせた。「この写真に写っている物は知っているかね?」 映されているのは黒い携帯用魔法瓶。スーパーなどで普通に売られている奴だ。「さあね……」「最近、市内のロッカーで見つかった物でね……」(田口兄め……) どうやら田口兄がロッカーに入れて警察に通報したブツのようだ。「中身は知っているかね?」「いいや」「中身は幻覚剤のリキッドと言われる物だ」 電子タバコに幻覚成分を入れて吸引するタイプだ。大麻などのキツイ匂いが無いので欧米などで愛好者が爆発的に増えているらしい。そして、それは各国の犯罪組織の資金源になりつつあった。 最近もスポーツ選手が密輸入しようとして報道されたばかりだ。「それが国内に流通しつつある」
last updateLast Updated : 2025-05-03
Read more
PREV
1
...
111213141516
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status