私はその友達申請を無視し、まるで見なかったことにした。翌日、図書館に向かう途中、道で誰かに待ち伏せされてしまった。佐々木翔也は、自分ではかっこいいと思っているのかもしれない笑顔を浮かべて言った。「美也子さん、どうして俺の友達申請を承認してくれなかったの?」私は淡々と返事をした。「何かご用?用事があるなら、会議のときに話してください」彼の私を上から下まで値踏みするような視線に、吐き気がこみ上げてきた。「いや、特に用事はないけど、ちょっと知り合いになりたくてさ。伽耶のルームメイトだろ?友達になっておけば、何か頼みたいときに助かるかなって」私は皮肉っぽく笑いながら言った。「でも、私と鈴木は仲が悪いよ。彼女、あなたに言ってなかったか?」それ以上、彼に不快な思いをさせられる前に、私はその場を離れた。その夜、寮でシャワーを浴びて出てくると、鈴木伽耶が浴室のドアの正面に座り、佐々木とビデオ通話をしていた。私は後ろ向きのカメラが自分を映していることに気づき、ぎょっとした。その場を離れようとしたところ、ルームメイトの佐久間早美が水を汲みに来た。「伽耶、美也子を撮影してどうするのよ!」佐久間の声で、寮中の注意が一斉にこちらに向いた。鈴木は慌ててビデオ通話を切り、弁解した。「間違えてカメラを反転させちゃっただけだよ。そんな大声出さないでよ、びっくりするじゃん」さらには逆ギレして、「そっちこそ、私のスマホを覗き見したでしょ!もう外で話すから!」とそう言って、寮を飛び出して行った。私は佐久間と目を合わせたが、特に追いかけることもせず、そのまま放っておいた。その夜、鈴木は寮に戻ってこなかった。その後、彼女と会うと、佐々木と一緒にいるか、または例の写真部の女の子と一緒にいることが多かった。その女の子とすれ違うたび、彼女は必ず数秒間私をじっと見つめ、それから鈴木に腕を引かれて立ち去るのだった。
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