Semua Bab シャープペンシルより愛をこめて。: Bab 121 - Bab 124

124 Bab

後日談・二ヶ月後…… Page16

「バレました? 実はそうなんです。僕ももっと早く先生にお話しするつもりだったんですけど、先生が喜ばれるかどうか心配で。僕よりも映画のプロの口から伝えていただいた方が説得力があるかな……と」「はあ、なるほど」 私も自分が書いた作品の出来(でき)には自信があるけれど、「映画化するに値(あたい)するかどうか」の判断は難しい。そこはやっぱり、プロが判断して然(しか)るべきだと思うのだ。「僕は先生がお書きになった原作の小説を読んで、『この作品をぜひ映像化したい!』と強く思いました。それも、アニメーションではなく、生身(なまみ)の俳優が動く実写の映画にしたい、と。それくらいに素晴らしい小説です」「いえいえ、そんな……。ありがとうございます」 私は照れてしまって、それだけしか言えなかった。自分の書いた小説をここまで熱を込めて褒めてもらえるなんて、なんだかちょっとくすぐったい気持ちになる。それも、初対面の男性からなんて……。「――あの、近石さん。メガホンは誰がとられるんですか?」 どうせ撮ってもらうなら、この作品によりよい解釈をしてくれる監督さんにお願いしたい。「監督は、柴崎(しばさき)新太(あらた)監督にお願いしました。えー……、スタッフリストは……あった! こちらです」 近石さんが企画書をめくり、スタッフリストのページを開いて見せて下さった。「柴崎監督って、〝恋愛映画のカリスマ〟って呼ばれてる、あの柴崎監督ですか!?」 私が驚くのもムリはない。私と原口さんは数日前に、私の部屋で彼がメガホンをとった映画のDVDを観たばかりだったのだから。「わ……、ホントだ。すごく嬉しいです! こんなスゴい監督さんに撮って頂けるなんて!」「実は、主役の男女の配役ももう決まってまして。あの二人を演じてもらうなら、彼らしかいないと僕が思う演者(えんじゃ)さんをキャスティングさせて頂きました」 近石プロデューサーはそう言って、今度は出演者のリストのページを開いた。「えっ? ウソ……」 そこに載っているキャストの名前を見て、私は思わず声に出して呟いていた。「……あれ? 先生、お気に召しませんか?」「いえ、その逆です。『演じてもらうなら、この人たちがいいな』って私が想像してた通りの人達だったんで、ビックリしちゃって。まさにイメージにピッタリのキャスティングです」 こん
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-02
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後日談・二ヶ月後…… Page17

「近石さん。……あの」 「はい?」  作家にとって、自分の手で生み出した作品は我が子も同然(どうぜん)。だから……。 「私の作品(ウチの子)を、どうかよろしくお願いします!」  我が娘(コ)を嫁に出すような想いで、私は近石さんに頭を下げた。原口さんはそんな私を見て唖然(あぜん)としているし、近石さんも面食らっているけれど。 「……はい。お任せ下さい。必ず先生のご期待にお応えできるような、いい映画にします! では、僕はこれで」  頼もしく頷いて、近石プロデューサーは編集部を後にした。 「――それにしても、『ウチの子』は大ゲサすぎませんか?」  二人きりになった応接スペースで、原口さんが笑い出した。 「まだ結婚もしてないのに『ウチの子』って……」 「ちょっと原口さん! 笑いすぎでしょ!?」  も
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-03
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後日談・二ヶ月後…… Page18

「とはいっても、『君に降る雪』の方は加筆修正の必要はないので、先生の手を煩わせることはありません。なので、先生は新作の執筆だけに専念して下さい」 「はあ、よかった」  私はホッと胸を撫で下ろした。手書き派の私には、一作分だけの仕事(プラス書店のバイト)だけでいっぱいいっぱいなのに、二作分の仕事をしなきゃいけないとなったらもうキャパオーバーだ。バイトだって辞めなきゃいけなくなるかもしれない。 「ナミ先生が作家活動とアルバイトを両立できるように、新作の執筆以外はなるべく先生の負担を軽くしていくつもりなので。これでも僕、ちゃんと考えてるんですよ」 「そうなんですね……。原口さん、ありがとうございます」  彼はSだけど、基本的に私には優しい。こうして、いつも私の事情を真っ先に考えてくれている。 もちろん恋人としてもそうだけど、編集者としても彼は私と相性がいいと思う。ケンカもするけど、一緒に組んでいてすごく仕事がしやすいし、何より楽しいし安心感がある。 「――あの、私はそろそろ失礼します。新作の原稿、早く書き上げたいし。お茶、ごちそうさまでした」  私がソファーから立ち上がると、「下まで見送ります」と原口さんも立ち上がった。 「……ねえ原口さん」  エレベーターに乗り込んでから、気まずい沈黙をかき消すように私から口を開く。 「はい?」 「私、あなたに出会えてよかったです。あなたが担当編集者でよかった。私の担当になってくれて、ありがとうございます」 「……えっ、どうしたんですか? 急に改まって。まさか、〝作家辞めます〟フラグじゃ――」  彼が
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-04
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後日談・二ヶ月後…… Page19

「でも、あなたがいてくれなかったら、私もここまで来られなかった。だから、やっぱりあなたのおかげなんです」 「ガンコですねえ、ナミ先生は」  急に声のトーンが変わり、原口さんは笑い出した。 「なっ……、何がおかしいんですか!?」  私は彼に突っかかった。せっかく素直に感謝の気持ちを表しているのに、笑うなんて……! 「でも、ガンコなところも謙虚なところも全部含めて、僕はナミ先生が好きなんです」 「…………」  私は原口さんをじっと見つめて固まった。こんな恋愛小説のヒーローが言うようなクサいセリフを、地で言える彼が信じられなくて。 彼ってこんなキャラだったっけ? 少なくとも、付き合い始める前はこんなセリフ絶対言わなそうなタイプだと思っていたけれど。 もしかして、こっちが彼の素(す)で、前はネコ被(かぶ)ってたとか? 「あと、未だに下の名前で呼んでくれないところも」 「~~~~~~~~っ!」  私はぐうの音(ね)も出ない。よりにもよって、一番痛いところをついてきた。&n
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-05-05
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