忘れることができない後悔がある。 何をしても変わらないのに、心にしこりのようにずっと残っている。 基本何事も夢見がちな僕が一つだけ現実的に考えるようになったのは、あることが関係している。 そんな事を思い出していると、どこからかオルゴールのネジをゆっくり回しているような機械音が聞こえてきた。 そこから聞こえる音楽を聞いているうちに、僕の意識は落ちていった。 目を開けると、僕はさっきまでいたところと違うところに立っていた。 慌てて周りを見渡した。街路樹がたくさん植えられていて、おしゃれでありながら落ち着いた雰囲気があるところだ。 やや遠くには、美容室が何店も並んでいた。 人は多いけど若い人はあまりおらず、まるでこの街の雰囲気に人が合わせているかのように感じた。 僕はさらに前を見つめると、電飾がきれいに飾りつけられたオブジェがいくつかあった。 その時、僕はデジャブを感じた。 前方から真上に視界を移すと、太陽がまだ浮かんでいた。時間帯的に夕方になる少し前ぐらいだろう。 だから、電飾もまだ鮮やかな光りを放っていないのかと納得がいった。 隣を見ると、妻の紗奈(さな)がいた。 それらの情報から、僕は今どこにいるのかなんとかわかった。 まずここはワンランク上のデートスポットとして雑誌に載っていたところの『代官山』だ。 そして、この風景だけでなく僕がここに彼女と一緒にいることから、ここは二〇一四年のクリスマスだとはっきりとわかった。 そうわかったのは、僕が彼女とこれまで代官山を訪れたのは、この時の一回っきりだからだ。 「代官山にデートに行こう」と僕が伝えると、僕よりも少し年下の彼女は「ドレスコードがあるお店に行く予定かな?」と事前に聞いてきた。 僕は知的な女性に魅力を感じる。 だから、そういうところまで瞬時にしっかり考えられる彼女を誇らしく思っている。 彼女の好きなところをあげると、いくら時間があっても足りない。それほど僕は今も彼女に心を奪われてる。 彼女は淡いピンク色のパーティードレスを着て、化粧もいつもよりきっちりとしている。 見るのは今回で二回目なのに、彼女のドレス姿に見とれてしまった。 彼女は普段かわいらしい服を着ていることが多く、化粧もそんなに濃くないことが多い。 きっと普段と違うからだと、僕は胸のドキドキに理由をつ
Terakhir Diperbarui : 2025-04-29 Baca selengkapnya