鳥飼《とりかい》の携帯から花々里《かがり》を名乗るメッセージが届いたとき、俺は何かの間違いだろうか?と思ったんだ。 でも、半信半疑でロビーに出向いてみたら、メッセージの内容そのままにあの子がそこにいて。 本当は大学はどうしたんだい?とか、何故鳥飼と?とか……言いたいことは山ほどあったんだ。 けれど花々里の顔を見た途端、全てがどうでもいいことのように吹き飛んでしまった。 そのぐらい、花々里がわざわざ俺に会いに来てくれたこと、また何時間も待ち続けてくれていたことがグッと心に響いて。 一切合切を不問にふして、俺は思わず「昼は食べたかい?」と問い掛けていた。 俺にとっては昼食の時間が14時を過ぎたりなんてことはざらだけれど、食いしん坊な花々里をそれに付き合わせてしまったかもと思ったら、にわかに不安になったんだ。 だけど幸いあの子の優秀なお腹の虫は宿主にそんな我慢をさせなかったらしい。 花々里がフルフルと首を横に振りながら、昼食は先に済ませたと言った時、俺は心底ホッとしたんだ。 なのに当の花々里は何故かそのことをすごく申し訳なく思っているようで。 別に気にする必要なんてないと言おうとしたら、「マテができませんでした」とか続けてくるから、思わずどこの忠犬だ!と笑いそうになった。 そうして同時に、花々里のことが心底可愛くてたまらないと思ったんだ。 あの食いしん坊の花々里が、俺相手にそんなことを思うようになってくれたとか。 ――ねえ、花々里。少しは脈があると思っても構わないのかな? この調子で、とびきり花々里を甘やかして、もっともっと俺になついてもらわねばね、と思ったんだが……そのあと連れて行った食堂で、何故か花々里は紅茶しか頼んでくれなくて。 先に昼飯を食べてしまったことをそんなに気にしているんだろうか
Last Updated : 2025-07-12 Read more