悠斗はクローゼットの奥から、美羽が残していった物を取り出した。無意識に別れの手紙を撫でると、手紙はすでに皺くちゃでぼろぼろになっていた。わざと取り出しにくい場所に保管していたのに、それでも何度も読み返してしまうのを止められなかった。手紙には美羽の行方は書かれていなかったが、悠斗は自虐的にその手紙で思いを紛らわせていた。美羽や美羽の両親にも連絡を試みたが、すべて音沙汰なしだった。美羽への仕打ちを知った両親は彼を追い出した。花音からは「これ以上美羽の新しい人生を邪魔しないで」と言われた。それでも悠斗は、自分の気持ちをきちんと伝えれば、かつてあれほど自分を愛してくれた美羽がきっと戻ってくれると信じていた。臨市大学に戻り、美羽の教え子たちに一人一人尋ねて回ったが、「知らない」という答えしか得られなかった。美羽の友人たちも事情を知っており、冷たくあしらわれるのが関の山で、ましてや美羽の情報を教えてくれる者などいない。結局、金を払って探偵に調べてもらい、ようやく美羽の居場所をつきとめた。情報を得ると、悠斗は最も早い便の航空券を購入し、荷物もろくにまとめずに出発した。美羽がこの学校に進学してきたことは知っているが、それ以外のことは何も知らない。美羽が進学した大学の近くに部屋を借り、毎日キャンパスで彼女の姿を探し続けた。「先生!この前すごく美味しいレストランを見つけたんです。一緒に行きませんか?」ドナルドの元気な声が悠斗の耳に届いた。声の方向を見ると、そこには長いこと探し求めた美羽の姿があった。帽子をかぶり、ロングスカートを着いた彼女は、知的で優しい雰囲気を漂わせていた。ただ、隣にいる外国人の男が目障りだった。男が一方的に喋っているのを見て、悠斗は美羽がハラスメントを受けていると勘違いした。袖をまくり上げ、美羽の前に立ち塞がり、ドナルドを睨みつけて警告した。「何をする気だ?美羽が嫌がってるのが分からないのか?今すぐどけ!さもなければ、容赦しないぞ」悠斗の姿を見た瞬間、美羽の心にはもはや何の感情もなかった。彼の背後から出ると、再びドナルドの側に戻り、冷たく言い放った。「彼は私の友人だ。余計なお世話だ」その言葉に、ドナルドは喜びを隠せない様子だったが、悠斗は傷ついた表情で美羽を見つめた。「美羽、
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