両親から電話があって、幼馴染・中野学(なかの まなぶ)が見合いをすることになったと聞かされた。その時、学は、私の隣でスヤスヤと寝息を立てていた。冗談だと思って、私はそっと彼に声をかけた。「ねぇ、学。あなたにお見合い相手が見つかったって、両親が言ってるけど」学は気だるそうに「んー」と相槌をうつと、私を腕の中に抱き寄せた。「綾ちゃん、後で俺の服選んで。髪もセットしてくれない?」私が固まったままなのを見て、学はうっすらと目を開けて、クスっと笑った。「なに、この顔。俺たちってさ、ただのセフレじゃん。まさか俺が君と結婚するとでも思ってたわけ?」私は一瞬、何が起こったのか理解できなかった。気まずくて、ただわたわたするしかなかった。学の顔が見れなくて、彼を突き放したあと、床に落ちていた服を拾って急いで身につけた。「綾ちゃん、こっちを見ろよ」学は頬杖をつきながら、面白そうな目で私を見た。「まさか俺たちのこと、本気で付き合ってるなんて思ってないよな?」私の頭の中は「セフレ」という言葉でいっぱいだった。震える手で、ブラのホックをなかなか留められなかった。学は布団をめくると、引き締まったセクシーな腰を見せながら、ベッドの横で膝立ちになった。そして手を伸ばしてきて、慣れた手つきでホックを留めてくれた。私は俯いたまま聞いた。「お見合いの相手って、誰なの?」そして、苦笑いしながらこう言った。「まさかおじさんたちが、変なところから適当に見つけてきた人じゃないよね」鏡に映る自分の体についた赤いキスマークを見ながら、まだ足がだるいな、と感じていた。学はグレーのスウェットパンツだけを履いていて、近づいてくると私の首筋に顔をうずめた。「麻衣さんだ」彼はその魅力的な目を少し細めて、繰り返した。「大学のとき、芸術学部だった先輩だよ。二宮麻衣(にのみや まい)。彼女に会えると思うと、結構ドキドキするんだ」口紅を塗っていた手が、ぴたりと止まった。私はもちろん覚えている。学が片思いしていた人だ。でも、告白する前に、麻衣は海外に行ってしまったと聞いた。もう、終わったことだと思ってたのに……学は私をじっと見て、唇を引き結んだ。「綾ちゃん、まさか俺のことが好きになったりしてないよな?俺たち、物心ついたときからの付き合
Read more