Semua Bab 償いのサイレン―救命士と死者の対話―: Bab 11 - Bab 12

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第5章:12年前の患者

 消防署に着くと、柴田隊長は自室でマキラを待っていた。「座れ」 隊長の声は優しかった。マキラは椅子に座り、深呼吸をした。「隊長、私、話さなければいけないことがあります」「聞こう」 マキラは、十二年前の出来事から語り始めた。 それは、彼女が救命士になって二年目の冬のことだった。深夜の交通事故。飲酒運転の車が、信号待ちをしていた軽自動車に衝突した。 軽自動車には、母親と八歳の娘が乗っていた。 母親——桐谷夏美は、車の下敷きになっていた。マキラたちが到着したとき、彼女はまだ意識があった。「娘を……娘を先に……」 夏美は血を吐きながら懇願した。 しかし、救出の順序は明確だった。より重症な方を優先する。娘の美月は軽傷だった。夏美の方が、緊急性が高かった。 マキラは夏美を救急車に乗せた。その間、美月は現場で泣き叫んでいた。「ママ! ママ!」 その声が、今でもマキラの耳に残っている。 救急車の中で、マキラは懸命に処置をした。しかし、夏美の状態は急速に悪化した。「娘に……会いたい……」 夏美の最後の言葉。 そして、午前三時四十七分、彼女の心臓は止まった。 病院に到着する、わずか三分前のことだった。 マキラは、その後何度も自問した。もっと早く処置していれば。もっと的確な判断をしていれば。 しかし、どう考えても、彼女のやったことは正しかった。医学的に、手順的に、全て正しかった。 それでも——夏美は死んだ。 そして、マキラは自分を許せなかった。「それから、私は感情を封じ込めることにしたんです。患者を救えなかったとき、悲しんでいる暇はない。次の現場に備えなければならない。そう自分に言い聞かせて」 柴田は静かに聞いていた。
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終章:新しい鼓動

 それから一年が過ぎた。 マキラは、相変わらず救急救命士として働いていた。 しかし、彼女の生き方は大きく変わっていた。 仕事が終われば、同僚と食事に行く。月に一度は実家に帰る。カウンセリングも続けている。 そして何より――自分を許すことができるようになっていた。 救えなかった患者がいても、自分を責めすぎない。 最善を尽くした。それで十分だ。 そう思えるようになっていた。 ある秋の日、マキラは美月から招待状を受け取った。「心理カウンセラー資格取得記念パーティー」 美月は、無事に資格を取得し、カウンセリング会社に就職したという。 パーティーは、小さなレストランで開かれた。 美月の友人や家族が集まり、和やかな雰囲気だった。「マキラさん、来てくれてありがとうございます」 美月は笑顔で迎えた。「おめでとう。本当に頑張ったわね」「マキラさんのおかげです。あなたが、私に前に進む勇気をくれました」 二人は抱擁を交わした。 パーティーの最中、美月がスピーチをした。「今日、ここに集まってくれた皆さん、ありがとうございます」 美月の声は、明るく力強かった。「私は、十二年前に母を失いました。それは、私の人生で最も辛い出来事でした」 会場が静かになった。「でも、その経験が、今の私を作りました。苦しみを乗り越えたからこそ、同じように苦しんでいる人の気持ちが分かる」 美月はマキラを見た。「そして、ある救命士の方が、私に大切なことを教えてくれました。人は、一人では生きられない。助けを求めることは、恥ではない。それは勇気だと」 マキラの目に涙が浮かんだ。「だから、これから私は、カウンセラーとして、誰かの支えになりたい。母が私を支えてくれたように」 会場から拍手が起きた。 パーティーが終わった後、マキラと美月は外で話をした。
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