実家が破産したあの年、私は小寺山彰良(こてらやま あきら)にまとわりついて最後の一夜を共にした。目が覚めた後、私は最後の手持ちの金を彰良に叩きつけた。「さあ、これを持って別の金持ちの女のところへでも行きなさいよ。私みたいなブスを、嫌々あやしてやる必要もなくなったんだから」私は資産の差し押さえに来た連中に家から追い出され、顔の大きなアザを誰もが指さして嘲笑した。一方で、彰良の友人たちは彼の新たな生活の門出を祝福している。「彰良ほどの顔があれば、金持ちの可愛い子がいくらでも群がってくるさ。あんなブスに安売りしてやる必要なんて、まったくなかったんだ」「彼女も破産したことだし、これでもう付きまとわれることもないだろう」五年後、彰良は貧しいイケメン大学生から、ビジネス界の風雲児へと変貌を遂げていた。面接会場で、彼が私の履歴書をめくっていると、その視線が写真のところで止まった。彼は淡々と口を開いた。「28歳……すでに子どもがいるのか?」私は彼の探るような視線を受け止め、自己紹介をした。「はい、稲崎舞華(いなざき まいか)と申します。既婚で、娘が一人おります」今の私は名前を変え、顔を覆っていた大きなアザも消した。彰良は、私が誰であるかに気づかなかった。……出した履歴書がよりによって彰良の手に渡り、彼が直々に私を面接することになろうとは、夢にも思わなかった。ドアを開けて中に入った瞬間、私の呼吸は一瞬乱れた。彰良はデスクに座り、すっと通った鼻筋に縁なし眼鏡をかけ、長い指で私の履歴書をめくっている。彼の視線が履歴書の写真から私の顔へと移った。その瞳の奥には、何かを探るような色が宿っている。「稲崎……M大卒か。それで、生活アシスタントに応募したと?」彼は机の表面を指でトントンと叩き、怠そうにまぶたを上げた。「生活アシスタントがどういうものかわかってるか?言い方は悪いが、要は家政婦だ。俺は日常生活においてこだわりが多い。君が気を配るべき細かな点は山ほどあるぞ」彼が何かを話し続けているが、私の意識は数年前の別れの夜へと飛んだ。あの年の彰良は、洗濯を繰り返して色あせたシャツを着ていた。私はその襟元のボタンを引きちぎり、彼をベッドに押し倒して、めちゃくちゃに口づけをした。口からは、毒々しい言葉
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