上司が、夜は外の温泉に泊まるよう通知に来た時、私の心は鼓動を速めた。なぜなら私は性依存症だからだ。もし男性と不用意に身体が触れ合えば、軽い場合は情欲が湧き上がり、ひどい場合はまるで火に焼かれるように、わずかな動きで頂点に達してしまう。これはあまりにも恥ずかしいことで、誰にも話したことがなかった。大人になれば治ると思っていたのに、この身体はますます制御できなくなり、あやうく人前であえぎ声を漏らしそうになった。そこで、押し寄せる羞恥心をこらえながら医者に行き、処方箋をもらった。しかし今回のアウトドア研修は慌ただしく、薬を家に忘れてきてしまった。家に帰る見込みは、はるか遠くにある。心の中の恐怖をこらえながら、耐えろと自分に言い聞かせ、後をついていった。その時、上司が突然言った。「ホテルは満室だ。でもテントはある。ただし数は限られているから、何人かで詰め合わせて寝るんだ。佐倉くん、君は黒崎くんとあっちで休んでね」こうして今の状況になった。見知らぬ大柄な男性と一つのテントで寝る。しかも私は薬を持っていない性依存症患者だ。必死にテントの隅に縮こまり、唇を噛みしめて目を閉じ、薬の効果が切れる前に早く眠れと自分に言い聞かせた……その時、黒崎雅人(くろさき まさと)が近づいてきた。「どうした?」彼の体温が背中から伝わってきて、私の肌が震え始めた。「い、いいえ…大丈夫、ありがとう」――お願い、離れて。肌が服を擦れる快感が全身に伝わり、最も耐え難い時が来たのだと悟った。必死でスマホを確認すると、午前0時。前回の薬を飲んでから6時間以上が経過していた。薬の効果はほぼ切れてしまった。
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