私・天野汐里(あまの しおり)、鳴海蒼介(なるみ そうすけ)と結婚して十五年目。彼の女遊びは、相変わらず絶えない。私たちだって、かつては愛し合っていたのだ。あの日――私の誕生日を祝うために来る途中だった義母が、交通事故で亡くなるまでは。その日を境に、私たちは「憎しみ」だけで繋がった夫婦に成り果てた。彼は純粋に私を憎み、私は……それでも彼を愛していた。ある日、主寝室のベッドの下を掃除していた私は、結び目のついた避妊具をいくつか掃き出した。中身は、たっぷりと詰まっていた。とっくに慣れっこだったはずなのに、私はトイレに駆け込み、胃の中身をすべて戻すほど激しく嘔吐した。鏡に映る、枯れ木のようにやつれた自分の顔を見て、思った。いくら私の罪が重くとも、もう償いは十分だろうと。あの十年の愛と罪悪感だけを頼りに、とっくに私を愛していない男に、残りの人生を捧げるわけにはいかない。私は「骨肉腫末期」と記された診断書をしまい込むと、久しぶりに新しいドレスを買い、完璧にメイクを施して、今まで一度も足を踏み入れたことのないクラブの扉を開けた。人生の最期の時間くらい、自分のために生きたいと思ったからだ。だが、ホストを侍らせて座る私を見た瞬間、蒼介は狂ったように激昂した。……初めて足を踏み入れたクラブ。耳をつんざくような大音量の音楽と、明滅するライトに、少しめまいがした。アルコールと香水が混じり合った濃厚な空気は、死んだように生きてきた私のこの十年とは、あまりに異質だった。私は隣のボックス席の見よう見まねで、一番高い酒を注文した。そしてマネージャーに告げた。「ここのお店で一番いいホスト、全員呼んでちょうだい」マネージャーは一瞬呆気にとられたようだが、すぐに営業用の貼りついた笑みを浮かべた。ほどなくして、若く生き生きとした男の子たちがずらりと私の前に並んだ。誰もがスラリとしていて、整った顔立ちをしている。私は微笑んだ。「みんな座って。特別なことはしなくていいわ、ただお喋りに付き合ってくれればそれでいいの」彼らは顔を見合わせたが、素直に従って席に着いた。私のような客は珍しいだろうが、接客の手間がかからない分、彼らにとっても悪い話ではないはずだ。私はただ知りたかったのだ。蒼介が普段どんな遊び方をしているのか。私も同じこ
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