私の名前は南結衣(みなみ ゆい)。結婚記念日だというのに、夫の菊池颯太(きくち そうた)は彼の幼馴染・橘里奈(たちばな りな)を迎えに行くために、私を山の中に置き去りにした。私はショックで流産し、手術台の上で死にかけた。手術が終わると、私は颯太に電話をかけ、離婚したいと告げた。だが電話口から聞こえてきたのは、幼馴染の泣き声だった。「私のせいよ、颯太くんを責めないで……」颯太は彼女を散々慰めた挙句、私がわがままだと喚き散らした。私は一方的に電話を切り、その場を去った。……退院して家に戻ると、颯太がリビングのソファに座っていた。その隣には、ポップコーンを抱えた里奈が座っている。二人は最新の恋愛ドラマを見ていた。その甘い雰囲気に当てられたのか、里奈は颯太の腕に絡みつき、彼の胸に顔を埋めてとろけそうな笑顔を浮かべている。私に気づいた颯太は、すぐに里奈の手を振りほどいた。彼は立ち上がり、私を値踏みするように見た。「やっと戻る気になったか?」ここ数日、颯太から連絡はなかった。どうやら私が流産して入院していたことも知らないらしい。彼は私がただ駄々をこねて家出しただけだと思っているのだ。私に少しでも関心があれば、この数日、私がどんな目に遭っていたか気づけたはずなのに。颯太は何も聞かず、またソファに座り直して命令した。「帰ったんなら、さっさとご飯作ってくれよ。今日は里奈もうちで食べるから」里奈は舌を出しておどけてみせた。「お願いね、結衣さん」私は里奈を一瞥した。彼女はいつもこうやって颯太にまとわりついている。そして私が怒ると、颯太はいつも軽い調子でこう言い訳するのだ。「彼女は幼馴染で、妹みたいなもんだ。単純な子なんだから、そう目くじら立てるなよ」私は深く息を吸い込み、鞄から書類を取り出して颯太に渡した。「時間を作って離婚届を出そう」颯太は離婚届に視線を落としたが、受け取ろうとはせず、私を非難した。「そんな些細なことで離婚だと?心が狭いにも程があるぞ。あの時は里奈を助けるためだったと分かってるだろ」自分の名前が出たのを聞いて、里奈はすぐに泣き真似を始めた。「ごめんなさい、結衣さん。私のうつ病の発作が出て、颯太くんに電話しちゃったの。悪いのは
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