三浦海斗(みうら かいと)との結婚7周年の記念日。私はテーブルに並んだ冷たい料理を前に、一睡もできずに朝を迎えた。次の日、仕事の付き合いのはずだった海斗が、昔から想いを寄せていた白石紬(しらいし つむぎ)と腕を組んで、ニュースの一面を飾っていた。私はテーブルをひっくり返し、海斗の書斎をめちゃくちゃにした。そして、怒りで目を真っ赤にして、紬の歓迎パーティーをぶち壊した。「戻ってきて。紬に会うのは許さない。さもなければ、離婚よ」でも、海斗は眉ひとつ動かさなかった。紬が私におびえて、足をくじくまでは。海斗は初めて心配そうな顔つきになり、私を怒鳴りつけた。「いい加減にしろ!」私はしばらく呆然としていたけど、最後には離婚協議書を海斗に叩きつけた。「離婚しよう」海斗はあっさりと書類にサインを済ませると、すぐに紬のそばにかがみこんで、彼女の足首をさすってあげた。私が背を向けて去ると、周りは今回の私が本気なのかと噂していた。海斗は冷ややかに笑った。「本当にいなくなればせいせいする。7年間も同じ手口ばかりで、そっちが飽きなくてもこっちはうんざりだ」冷たい風が胸に吹き込むなか、私は航空券を強く握りしめた。海斗の望み通り、今度こそ私は本当に彼を手放すことにした。「決心はついた?こっちにはいつ来るんだ」「2時間後の飛行機に乗るわ」電話の向こうが数秒ほど黙ってから、低い男性の声が聞こえた。「わかった。時間になったら迎えに行く」凍えるような風が吹き荒れる東都に、ようやく今年初めての雪が舞い始めた。指先に舞い降りた雪を見て、ふと7年前、海斗と結婚すると決めたあの夜を思い出した。私は子供のころから、自分が政略結婚のための駒にすぎないことを知っていた。そんな逆境の中で生き抜こうと、21年間も抗ってきた。でも結局、罠にはめられて薬を飲まされ、結婚相手の部屋に送り込まれてしまった。服が乱れ絶望していた私を、悪魔の手から救ってくれたのは、酒瓶を片手にした海斗だった。海斗は私を抱きかかえて、深夜の街へ連れ出してくれた。あの日も、今日みたいに大雪が降っていた。いつも強がっていた私は、海斗の腕の中ですっかり無防備になって、彼の横顔を見ながら涙を流した。海斗は眉をひそめていて、その表情は雪のよう
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