Alle Kapitel von 異世界に子供の姿で転生し初期設定でチートを手に入れて3: Kapitel 11 – Kapitel 20

25 Kapitel

11話 桃色の決意と柔らかな休息

「一緒にいて良いでしょ! もしかして、嫌いにでもなっちゃったの?」 思わず身を乗り出して聞き返すと、サナは弾かれたように叫んだ。「嫌いなわけないだろ!!! ……ただ、その、恐れ多くなっただけだ……」「え? サナが?」 あの不敵な笑みを絶やさない彼女が、恐れ多いなんて。俺の言葉に、サナは居心地悪そうに視線を泳がせ、真っ赤になった耳を隠すように顔を伏せた。「ああ、ちょっとだけな……。魔王なんて、そらの前ではただの小娘に見えてしまうんじゃないかと思って……」「あははは……」 さっきまで俺に「パンツを見せないぞ!」と脅していた威厳はどこへ行ったのか。神を越える職業という文字の重みが、彼女の心に柄にもない遠慮を生んでしまったらしい。 俺は少しだけ寂しそうにしているサナの手を引き、再び自分の方へと引き寄せた。「神を越えていようがレベルがいくつだろうが、ボクにとってはサナはサナだよ。それに……」 俺は彼女の耳元に口を寄せ、リーダーたちに聞こえないよう、小さな声で囁いた。「……可愛いハート柄のパンツを見せてくれる『魔王様』なんて、世界に一人しかいないしね」「っ……! もう、それを言うなぁ!」 サナは顔を真っ赤にして俺の胸をポカポカと叩いたが、その表情にはいつもの明るい笑顔が戻っていた。♢桃色の決意と柔らかな休息 俺は笑いながらテントの中でゴロゴロと転がり、サナの隣に身体を滑り込ませた。そのまま、彼女の柔らかそうなお腹を枕にする。「サナのお腹、柔らかくて気持ちいいな」「そうか? 気に入ってくれたら嬉しいぞ。好きなだけ使ってくれ」 サナは慈しむような手つきで俺の髪をそっと撫でた。彼女の体温と、お腹の規則正しい鼓動が耳に伝わってきて、なんだかひどく落ち着く。「たまにお腹を枕にするね」「毎日でも良いぞ。太ももでも良いしな」 そう言って彼女が自分の身体を少しずらしてくれたのだが、寝返りを打って向きを微調整した瞬間、俺の視界に強烈な色が飛び込んできた。「……もろにパンツ見えるんだけど?」 顔のすぐ横、ワンピースの裾の奥に、あの桃色にハート柄が鎮座している。近すぎて、もはや布地の質感まで分かりそうな距離だ。「見たいんじゃないのか?」 サナは隠すどころか、わざとらしくお腹を少し突き出すようにして、ニヤニヤと意地悪そうに覗き込んでくる。「こんな近
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

12話 桃色の朝食と過剰な愛着

(え? 俺は、いったい何を頼まれたんだ!?) 唐突に投げかけられた言葉の真意を測りかね、思考が停止する。だが、その声に含まれた微かな震えと、縋るような熱量に、俺の答えは決まっていた。「え、うん」 咄嗟にそう引き受けてしまったが、後悔はない。元々、この寂しがり屋な魔王の面倒は一生見ていくと心に誓っていたのだ。それが「神をも越える」存在としての役目なのか、あるいは彼女の言う「未来の旦那様」としての務めなのかは分からないけれど。「……んふふ、言ったな? 約束だぞ」 サナは満足げに喉を鳴らし、俺の顔を自分のお腹にさらに深く押し当ててくる。至近距離で見える桃色にハート柄のパンツと、柔らかすぎる肌の感触。今の俺にはこの甘い地獄から抜け出す術はなかった。(……まあ、いいか。今はこれを堪能させてもらおう) 俺は観念して、サナの柔らかいお腹に顔を埋めたまま、彼女から託された言葉の重みを噛み締めることにした。♢桃色の朝食と過剰な愛着 俺たちはテントの幕を閉め切ったまま、二人きりで朝食を摂ることにした。 サナは朝一番の「特訓」と「告白」を経て、完全に上機嫌モードに入っていた。「ほら、そら。あーん、だぞ♪」 サナは蕩けるような笑顔を浮かべ、自分の膝に俺を座らせるようにして抱き寄せると、丁寧に切り分けた干し肉のスープを口元まで運んでくる。「……サナ、自分でも食べられるよ?」「いいんだ、わたしが食べさせたいんだから。ほら、口を開けろ」 断る隙も与えないほど、彼女は過剰にベタベタと接してくる。至近距離で見つめてくる彼女の瞳は熱っぽく潤んでいて、その距離感は朝食を食べるというより、まるで雛鳥に餌をやる親鳥か、あるいは愛玩動物を慈しむ飼い主のようだ。「……ん」 諦めて口を開けると、サナは満足げに「んふふ」と喉を鳴らし、俺の頬をそっと指先で撫でた。「美味しいか? わたしの愛が隠し味だぞ」「……隠し味っていうか、サナの距離が近すぎて味がよく分からないよ」 俺が苦笑いしながら答えると、サナはさらに腕の力を強め、俺の背中にその柔らかな胸元を押し当ててきた。ワンピースの薄い生地越しに伝わる彼女の体温と、しっとりとした肌の感触。「面倒を見ろって言ったのはそらなんだからな。わたしもしっかり、そらの面倒を見てやるんだ」 彼女はそう言って、俺の耳元で甘く囁いた。どうやら先
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

13話 魔王の静謐と凱旋の馬車

「どうしたのだ? 機嫌でも悪いのか……?」「何となく、可愛らしく柔らかそうな頬が見えたから……引っ張ってみた」「うぅぅ……痛かったぞ!」 不満げに唇を尖らせる様子があまりに愛らしくて、つい頬を緩めてしまった。「悪かった。ついな」 指を離して謝ると、赤くなった頬をさすりながら、今度は獲物を狙うような熱を帯びた瞳で俺を捕らえた。「……謝罪だけじゃダメだ……キスを所望するぞ!」 真っ直ぐな、けれどどこか切実な要求。その言葉に抗えるはずもなく、俺は促されるままに、桜色のぷるんとした唇へと軽く自分の唇を重ねた。 触れるだけの、挨拶のようなキスのつもりだった。だが、離れようとした瞬間に細い腕が俺の首に回り、逃がさないと言わんばかりに強く引き寄せられる。「……っ」 そのまま、しがみつくようにして俺の唇を食んできた。深く、熱い吐息が混じり合い、テントの中に甘い沈黙が流れる。先ほどまでの恥じらいはどこへやら、今はただ俺を独占したいという、魔王らしい強欲さと少女のような一途さが入り混じった情熱が伝わってきた。 ようやく唇が離れると、満足げに「んふふ」と喉を鳴らして微笑む。その勝利を確信したような笑顔に、俺はもう一度だけ苦笑いを浮かべ、彼女の手を引いて外の世界へと足を踏み出した。 サナが名残惜しそうに俺の服の裾を指先で弄りながら、満足げに「んふふ」と喉を鳴らしている。彼女の纏う空気だけが、殺伐とした登山のそれとはかけ離れた、桃色の甘い余韻を引きずっていた。「さあ、サナ。荷物をまとめて出発しよう」 俺が促すと、彼女は一瞬だけ不満げに頬を膨らませたが、すぐに「未来の旦那様」の言葉に従うように、甲斐甲斐しくテントの片付けを手伝い始めた。♢魔王の静謐と凱旋の馬車 山を下る道中、昨日のあの恐ろしいプレッシャーが嘘のように、森は不気味なほど静まり返っていた。本来ならこの辺りには血気盛んな魔物が徘徊しているはずだが、隣を歩く彼女が放つ微かな「魔王のオーラ」が、野生の直感を持つ者たちを根こそぎ退散させているらしい。「……本当に、何も出ないな」 リーダーが不思議そうに辺りを見回しながら呟く。彼の背中には、昨日までの緊張感ではなく、どこか狐につままれたような困惑が漂っていた。「運が良かっただけですよ」 俺がそう言って笑ってごまかすと、隣で裾を揺らしていた彼女が、得意
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

14話 紫煙の誓いと永遠の隷属

「そら……。そんな顔をして……わたしをどうするつもりだ?」 視界の端では、リーダーたちが窓の外の景色に気を取られている。そのすぐ傍らで、俺たちは誰にも知られない、密やかで濃厚なやり取りに身を沈めていた。♢琥珀色の晩餐と甘い罠 ギルドでの報告を済ませ、かなりの額の報酬を懐に収めた俺たちは、街で一番と評判の高級レストランへと足を運んだ。 キャンドルの炎が揺れる落ち着いた店内で、豪華なコース料理と芳醇な香りのブドウジュースを楽しむ。だが、何よりも贅沢だったのは、俺の目の前で満足げに微笑む彼女の姿だった。「どうだ、そら。似合っているか?」 食事が終わり、宿に戻ると、サナはさらに着替えてみせた。ふわりと広がる透け感のあるレースをあしらった、清楚ながらもどこか艶やかな、とびきりオシャレで可愛いワンピース。淡い灯りに照らされた彼女の肌は、昼間よりもずっと白く、滑らかに輝いて見える。「……すごく似合ってるよ。可愛いすぎて、直視するのが大変だ」 俺が正直な感想を漏らすと、サナは嬉しそうに頬を緩め、そのまま俺の隣へと滑り込んできた。「ふふ、ならもっと近くで見れば良いではないか」 彼女は俺の腕に自分の細い腕を絡め、隙間がないほどぴったりと身を寄せてくる。ワンピース越しに伝わる体温は驚くほど熱く、彼女が動くたびに、甘く華やかな香水の香りが鼻腔をくすぐった。 サナは俺の肩に頭を預け、上目遣いでじっと俺を見つめる。その瞳は、昼間の馬車で見せたような熱っぽい光を宿していた。「今日の報酬で、こんなに素敵な時間を過ごせた……。でも、一番の『お祝い』はまだ貰っていないぞ?」 彼女の指先が、俺の胸元を弄ぶようにゆっくりと這い上がる。そのまま俺の首に腕を回すと、吐息が触れ合うほどの距離で、桃色の唇を微かに震わせた。「……そら。わたしを、もっと困らせてくれても良いんだぞ?」 昼間の「指」のやり取りを思い出したのか、彼女の瞳には明確な期待と、抑えきれない独占欲が渦巻いている。豪華なディナーの余韻など吹き飛ばしてしまうほど、目の前の彼女の存在感は圧倒的で、そして甘美だった。 期待に満ちた瞳で見つめてくる彼女の熱にあてられ、俺の心臓はさっきから高鳴りっぱなしだった。だが、ただ翻弄されるだけでは「未来の旦那様」の名が廃る。俺は少しだけ口角を上げると、彼女の腰を引き寄せ、その耳元に顔
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

15話 扉の向こうの日常と、噛み合わない常識

♢語り継がれる伝説と平穏の終わり ギルドの酒場は、今日も冒険者たちの喧騒に包まれていた。だが、その話題の中心はいつになく一色に染まっている。実際にあの場にいた者たちが語る「体験談」は、もはやお伽話のような現実味のなさを帯びていた。「……ゴブリンの巨大な巣穴があっという間に殲滅されたんだ……。それに、あのワイバーンの群れ……空を埋め尽くしてたはずなのに、一瞬で消えちまった。キングオーガだって、オーガの群れだって、瞬きする間もなかったんだぞ……あの人を怒らせたら……終わる、何もかも全部だ!」 現場を目撃した男が、震える手でジョッキを煽りながら熱弁を振るう。その周囲には、信じられないといった面持ちの男たちが集まっていた。「うちのリーダーなんか、あの子供相手に敬語だぜ。見てるこっちが背筋が寒くなったぜ!」「まあ……それは、正しい判断だな。お前も、次からは敬語を使った方が良いんじゃないか? 下手をすれば死ぬぞ」 冗談とも本気とも取れない忠告に、男は青い顔をして頷いた。その一方で、別の男たちが溜息混じりに視線を遠くへ向ける。「それにしても、あの横にいた可愛い嬢ちゃんのアレはヤバイな。あんな美少女なのに、恐ろしくて声も掛けれねぇ」「そもそも声を掛けられたとしても、お前は相手にされないだろ!」「お話くらいしたいだろ。俺は……それだけで幸せだしな!」「ああ、気持ちは分かるな……。あの美少女とお話かぁ……んふふ、そりゃ誰もが思ってるだろ、男ならよ!」 鼻の下を伸ばす男たち。だが、そのやり取りに鋭い一喝が飛んだ。「何度も何度も、言うけど! あんた達、余計な事はしないでよね。巻き込まれたくないわ!」 パーティの女性冒険者が、呆れたように釘を刺す。彼女だけは知っていた。あの二人の周りだけ、流れている空気の密度が明らかに違っていたことを。そして、あの少年が向ける視線の先には、常にあの少女しかいないということを。♢扉の向こうの日常と、噛み合わない常識 依頼の完了とサナとの甘いディナーを終えた翌日。 俺たちは宿の部屋で、特に出かける用事もなく、二人でベッドに転がって至福の時間を過ごしていた。窓から差し込む柔らかな陽光が、微睡みを誘うような暖かさを運んでくる。 サナは昨日のお返しと言わんばかりに、俺の腕を枕にして幸せそうに目を細めている。時折、子猫のように喉を鳴ら
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

16話 専属受付嬢と隣室の仕事場

♢専属受付嬢と隣室の仕事場 受付嬢は気まずい空気から逃れるように、パンと景気よく手を叩いた。そして、先ほどまでの困惑を強引に塗りつぶすような、少し上ずった高い声で本題を切り出した。「あ、そうでしたっ! お知らせがあってきました」 彼女は手元の書類を胸元で抱き直し、意を決したように俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。その瞳には、使命感とどこか諦めに似た色が混ざり合っていた。「ギルマスの突然の思い付きで特別待遇なんですが、私、そらさんの専属の受付嬢になり隣の部屋で受付の仕事をやらせて頂く事となりました」「え!? 意味が分からないんですが……」 あまりに突飛な人事異動に、俺は思わず開いたドアを掴む手に力が入った。ギルドの受付嬢が個人のために、しかも宿の隣の部屋に常駐するなんて、前代未聞にもほどがある。背後のベッドでは、サナが聞き捨てならないと言わんばかりに上体を起こし、シーツを握りしめて受付嬢を鋭く睨みつけている。「ですから、そらさん専用の受付嬢となりました」 彼女は頬を微かに引きつらせながらも、決定事項であることを強調するように何度も頷いた。その必死な様子に、俺は思わず頭を押さえて溜息を漏らす。「それ、まったく必要性がありませんよね……」「……そんな事、言わないでくださいよー!」 受付嬢は泣きそうな顔で、縋るように声を上げた。肩を落とし、今にもその場に泣き崩れそうな彼女を見ていると、責める気も失せてくる。彼女に非がないのは痛いほど分かるが、ギルマスの思考回路が全く読めない。俺を監視したいのか、あるいは完全に囲い込みたいのか。どちらにせよ、俺たちの「至福の時間」に新たな波乱が入り込むことだけは間違いなさそうだった。 俺がもっともな懸念を口にすると、彼女はハッとしたように目を丸くし、自分の置かれた状況を改めて再確認するように、人差し指を顎に当てて考え込み始めた。その拍子に、抱えていた書類がカサリと音を立てて少しだけずれる。「えっと……それ、かなり暇になるんじゃないですか? 1人ですよね。自分たちが長期の依頼を受けたら……何するんですか? やる事が無いんじゃないですか?」 畳みかけるような俺の問いに、彼女の視線は宙を彷徨い、次第に焦点が合わなくなっていく。隣の部屋で一人、主が不在のまま受付デスクに座り続ける自分の姿を想像したのだろう。「……あ、そう
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

17話 琥珀色の休息と不変の愛

「『しばらく休み』なのだろう? なら、誰にも邪魔されない時間をたっぷり堪能させてもらうぞ……」 彼女は俺の手を引き、再びあの柔らかなベッドへと誘う。サナの指先が俺の指の間に入り込み、力強く、そして逃がさないと言わんばかりに絡め取られた。外の世界で俺たちが「神を越える存在」や「恐るべき魔王」として語り草になっていようとも、この閉ざされた部屋の中では、ただ互いを求め合う一組の男女でしかなかった。 サナはベッドに腰を下ろすと、俺の体を自分の方へと引き寄せ、潤んだ瞳でじっと見つめてくる。彼女の吐息が至近距離で重なり、静まり返った室内には、二人の高鳴る鼓動の音だけが響いていた。♢琥珀色の休息と不変の愛 ベッドに戻り、再び柔らかな感触に身を沈めながら、俺は天井を見上げて口を開いた。シーツから立ち上がる石鹸の清潔な香りと、隣にいるサナの甘い体温が混ざり合い、思考がどこまでも緩んでいく。「しばらくお休みにするって言ったんだけどさ、すること事がないんだけど。サナは何かある?」 隣で俺の腕を抱きしめるようにして寄り添っていたサナは、少しだけ首を傾げて、迷いのない瞳を向けてくる。その黄金の瞳には、打算も邪念も一切混じっていない。「わたしは、そらと一緒なら何でも良いぞ?」(はい。……その答え知ってました) 彼女らしい、あまりに真っ直ぐな言葉に、俺はつい苦笑いを漏らしてしまった。窓の外では夜の静寂が深まり、遠くで夜鳥の鳴き声が微かに聞こえる。「そう言われると困るんだよなー」「困るのか?」 不思議そうに瞬きをする彼女の額を、軽く指先で小突く。指先に触れた彼女の肌は驚くほど滑らかで、吸い付くような感触があった。「それ、全く相談になってないし」「そうか……うーん……」 サナは少しだけ眉を下げ、真剣な表情で考え込み始めた。俺の腕を抱える手に力がこもり、豊かな胸の膨らみがさらに強く押し付けられる。彼女にとって「何をするか」よりも「誰といるか」が重要だということは、痛いほど伝わってくる。 サナは少しだけしょんぼりとした様子で視線を落としたが、すぐに何かを思いついたように顔を輝かせた。その紫色のアメジストのような宝石のような瞳が、夜の灯火を反射してキラキラと揺らめいている。「なにか、やりたい事ないの?」「あるぞ。そらと遊ぶ! そらを喜ばせることだなっ!」 サナが自信
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

18話 暁のギルドと炎竜の徴用

♢暁のギルドと炎竜の徴用 翌朝、活気を取り戻し始めたギルドに足を踏み入れ、いつもの受付へと向かう。そこには見慣れた笑顔があった。朝日が差し込む窓際で、彼女は背筋を伸ばし、昨日とは打って変わった快活な様子で立っている。「そらさん、そらさんっ! わたし、このギルドの受付に戻ってこれました!」 昨日、宿の廊下で肩を落としていたのが嘘のように、彼女は晴れやかな顔で俺たちを迎えてくれた。その声はギルドの喧騒に負けないほど清々しく、彼女自身の居場所を取り戻した喜びが全身から溢れ出している。「良かったですね」 俺が心底安堵したように声をかけると、彼女は「はいっ!」と元気に頷いた。「……あれ? そういえば、そらさんたち……休みじゃなかったんですか?」 受付嬢が不思議そうに小首をかしげると、俺の隣で腕を組み、不機嫌そうに頬を膨らませているサナが鼻を鳴らす。「休みといっても……やる事がなかったんで、つい……ギルドへ来ちゃいました」 俺が苦笑いしながら答えると、受付嬢はプロの顔に戻り、手元の資料を素早くめくった。どうやら俺たちが来るのを予見していたかのような速さだ。パラパラと紙がめくられる乾いた音が響き、彼女の指先がひとつの項目でピタリと止まる。「流石そらさんのパーティですね。実はお二人にしか受けられないような、少し特殊な案件が入ってきているんです」 彼女は眼鏡のブリッジを指先で押し上げ、真剣な眼差しで俺たちを見つめた。その隣では、サナが「また面倒でつまらないことではないだろうな?」と言わんばかりに、俺の服の裾をぎゅっと握りしめている。 受付嬢は、差し出した依頼書を握る指先に思わず力が入ったようだ。彼女の瞳には、これから語る内容の重圧がはっきりと浮かんでいる。「依頼内容はですね、ファイアドラゴンの鱗三枚を採集ってどうでしょうか? 難易度も高く出来る人がいないのですよ。討伐ではありませんけど危険度が高いですから……」 ドラゴンの鱗の採集。それは生息域に足を踏み入れるだけでも、並の冒険者なら命を落としかねない超高難度依頼だ。だが、今の俺たちにとっては、散歩のついでに落ち葉を拾うのと大差ない。火を噴く巨獣の領域も、俺たちの前ではただの風光明媚な観光地に変わる。「あぁ、それで良いです」 俺が迷いなく即答すると、受付嬢は目を丸くし、身を乗り出すようにしてこちらを覗
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

19話 予期せぬ再会と決意の同行

♢望の視線と戸惑いの出立 ギルドの重厚な扉へ向かおうとしたその時、背後からこれまでの「ひそひそ話」とは明らかに質の異なる気配が押し寄せてきた。それは恐怖や困惑ではなく、純粋な憧れと熱量を孕んだ、真っ直ぐな羨望の眼差しだった。「お気をつけて! そらさん」 一人の男が、拳を握りしめて熱のこもった声を掛けてきた。それを皮切りに、次々と声が上がる。これまでの「化け物を見るような目」とは正反対の、温かくも眩しい視線が背中に刺さる。「頑張ってくださいね。そらさん」 少し離れた席にいた女性冒険者も、頬を微かに染めながら、祈るように両手を合わせてこちらを見送っている。その潤んだ瞳には、死地へ向かう者への同情ではなく、高みを目指す者への純粋な敬意が宿っていた。(え、何!? どうしたんだ……?) これまでは畏怖されるか、遠巻きに見られることばかりだった。それが一夜明けてみれば、まるで街を救った英雄でも見送るかのような空気になっている。慣れない事態に、俺の心臓は居心地の悪さで少しだけ早鐘を打った。戸惑い隠せず、思わず隣を歩くサナの様子を伺う。 サナは、俺の腕に絡めていた手にギュッと力を込めると、周囲を威嚇するように一瞥した。だが、彼らの視線が自分ではなく俺に向けられていると気づくと、今度は誇らしげに鼻を鳴らす。「ふん、当然だな。そらの凄さをようやく理解したというわけか。……だが、あまり見すぎるなよ!」 サナは独占欲を隠そうともせず、俺の肩に頭を預けて歩を速めた。彼女にとって、俺が称賛されるのは気分が良いが、注目を集めすぎて二人だけの空間を邪魔されるのは、また別の話らしい。「なあ……そら、すごい人気だな! 皆、お前の強さを正しく理解し始めたようだぞ」 隣を歩くサナだけは、誇らしげに胸を張り、自分のことのように嬉しそうに微笑んでいる。その誇らしげな様子は、まるで自分が褒められている時よりもずっと深い悦びに満ちているようだった。だが、向けられる視線の熱に耐えきれなくなった俺は、顔が熱くなるのを隠すようにして、彼女の手を引いた。「……いいから、行くぞ。恥ずかしいし、面倒だし……こういうの、慣れてないから」「んふふ、照れているのか? 可愛いな、そらは……」 サナの鈴を転がすような軽やかな笑い声を背中で聞きながら、俺は足早にギルドを後にした。背後に残る熱烈な見送りの声
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen

20話 桃色の均衡と微熱の予感

「それと、もう出発するけど……良いの?」「準備は出来ています」 リーダーの答えは即座に返ってきた。足元を見れば、確かに旅の支度は完璧に整っている。俺が来るのを確信して、ギルドの裏で待機していたのだろう。「今回はファイアドラゴンだけど大丈夫? 出現するかもよ」 一応、念を押してみる。鱗の採集とはいえ、相手は伝説級の魔物だ。生半可な実力では、遭遇した瞬間に塵も残らず焼き尽くされる。「覚悟は出来てます」 男のその言葉に、嘘偽りはないようだった。死への恐怖よりも、高みを目指したいという冒険者としての矜持が勝っている。「……そら、どうするのだ? わたしは、お前さえ良ければ、この者たちの羽虫のような羽音くらいなら我慢してやるぞ」 サナは少しだけ不服そうに、けれど俺の判断を尊重するように寄り添ってくる。彼女にとっては、俺との二人きりの時間を邪魔されるのは本意ではないだろうが、俺が許可を出すなら異論はないといった様子だ。「分かった。じゃあ、一緒に行こう。ただし、自分の身は自分で守ってくれよ」 俺が頷くと、彼らは一様に安堵したような、それでいて新たな戦場へ向かう高揚感に満ちた表情を見せた。♢灼熱の麓と再度の案内「じゃあ行こうか。って……みんなで移動するなら、馬車を探さないとだよな」 ふと思い立って口にすると、リーダーは待ってましたと言わんばかりに頷いた。「馬車の手配は出来ています」「準備良いね。助かったよ!」 俺が感心して告げると、彼は少しだけ誇らしげに表情を緩めた。そのまま彼らが手配していた馬車に揺られること二日間。街道を抜け、景色が次第に荒涼とした岩場へと変わっていく。辿り着いた先には、以前の山とはまた違う、噴煙を上げる禍々しい巨躯がそびえ立っていた。「リーダーは、今回の目的地も詳しいの?」 馬車を降り、乾燥した熱気に目を細めながら尋ねる。「何回か別件で訪れた事があります」「案内も頼めるかな」「お任せください! また、途中で夜営になります。準備は大丈夫ですか?」 リーダーの頼もしい返答に、俺は隣で「ふむ、また野宿か……」と、どこか楽しげに俺の腕を引き寄せている彼女の感触を確かめながら頷いた。「うん。問題ないよ」「では、行きましょうか」 一行は再び、リーダーを先頭にして険しい山道へと踏み出した。足元からは地熱が伝わり、空気は微かに
last updateZuletzt aktualisiert : 2026-03-23
Mehr lesen
ZURÜCK
123
CODE SCANNEN, UM IN DER APP ZU LESEN
DMCA.com Protection Status