道端に立ち、私に背を向けて電話をしている男。見覚えのある後ろ姿だ。私は足を止めた。男がこちらを向き、顔が見える。駿。駿も私に気づいたらしい。私たちは数メートルの距離をあけて、そのままお互いを見つめた。駿が先に口を開く。「美月?」「うん」「なんでここにいるんだ?」「出張」「そうか」駿は電話を切り、何を話すべきか迷っている様子だった。だから、私もそのまま、駿が道を空けてくれるのを待った。だが、駿はいつまでたってもどかない。「ひとりか?」と駿が聞く。「うん」「何日いるんだ?」「あさって帰るよ」「そうか」また静寂が流れる。「あのさ……」と何かを言いかけた駿だったが、結局は言葉を飲み込んだ。私は彼の顔をじっと見た。1ヶ月ぶりの駿は少し痩せていて、目の下には隈があり、無精髭まで生えている。それに、服まで皺だらけ。前よりもずっと、ひどい状態だった。「何か用?」と、私は尋ねる。「いや、なんでもない」駿はようやく道を開けてくれた。私は振り返らずに彼のそばを通り過ぎる。「美月!」駿が背後で私を呼び止めた。私は歩みを止めたけれど、振り返りはしない。「莉子のこと知ってるか?」私は駿の方を向いた。街灯の下に立つ駿の顔は、オレンジ色の灯りに照らされ、光と影に半分ずつ分かれていて、その表情はよく読み取れない。「何?」「あいつ……」駿が一呼吸置いた。「他の男と付き合ってるみたいなんだ」私は何も答えなかった。「つい数日前に知ったんだ」その声は沈んでいく。「莉子がいるっていうから、会いに来たのに……」「会えたの?」「ああ」「それから?」駿は何も言わない。あの日のカフェの入口で見た光景を、ふと思い出す。莉子の肩を抱く男と、拒まない彼女の姿。駿が顔を上げて言った。「男と仲良さそうにしていてさ。誰かって聞いたら『ただの友達だ』って平然と言うんだよ」「で?」「『俺たち付き合ってるんだよな?』って聞いたら、『いつ付き合ったの?何回か食事をしただけで、恋人関係じゃないでしょ』ってさ」駿の声は、どんどんと小さくなっていく。なんと言ったらいいか分からない私は、ただその場に立ったまま。「プレゼントも
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