結婚式1週間前、会場のホテルから予約がキャンセルされたとの連絡が突然入った。私・葉山美月(はやま みつき)は急いでサイトの予約状況を確認すると、確かに3日前にキャンセルの手続きが済んだことになっている。この式のために、私は婚約者の吉沢駿(よしざわ しゅん)と何日も徹夜で、プランを練り、あちこちのホテルを見比べては、料理の試食にも通い詰めた。キャンセルなんて納得できない。ホテル側で何か手違いがあったはず。そう思った私は、すぐにホテルへと電話をかけた。「もしもし。5月20日に結婚式の予約をしている者なのですが。こちらはキャンセルしていないのに、先ほどキャンセル通知が届いたので、もしかしたらシステムの不具合じゃないかと思ってご連絡させていただきました」電話の向こうで、担当者が少し沈黙する。「システム上ですと、3日前に吉沢様が直接お越しになって、キャンセルの署名をされています。一度、吉沢様に確認していただけますか?」電話を切った後も担当者に言われた言葉が、頭の中でずっと繰り返されていた。携帯を握る手も次第に冷たくなってくる。3日前にキャンセル?3日前といえば、私と駿は一緒に招待状のデザインを選んでいたはず。それに、引き出物はどうするかとか、週末にもう一度メイクの打ち合わせに行こうかなどとも相談していたのに。電話を切った後の私はリビングで立ち尽くし、テーブルに広げていた結婚式の打ち合わせ資料を眺めた。その時、ドアの鍵が開く音がした。駿が靴を脱いでいる音も聞こえる。「美月が好きな栗大福買ってきたよ」玄関の方から駿が話しかけてきた。「30分並んで、最後の一つをなんとか買えたんだ」私はまだ立ったまま動けないでいた。袋を提げてリビングに入ってきた駿が、笑顔で私を見て不思議そうに首を傾げる。「どうしたの?ぼーっとそんな所に立って」駿がテーブルに袋を置き、中の箱を取り出す様子を私は見ていた。そして、彼はいつものように栗大福の箱を開け、私にひとつ渡す。「食べてみて。作りたてだから、すごく柔らかいと思うよ」私はそれを受け取らなかった。「駿。私に話すべきことがあるんじゃないの?」駿の動きがぴたりと止まった。だがすぐに、彼は栗大福を箱の中に戻し、顔を上げると私を見つめ、いつもの優しい笑
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