二本足のメスのハラワタは、これまで喰ってきたどの肉とも違っていた。牙を立てるたび、ぬめる内側が指のように逃げようとし、噛み切れば弾くように跳ね返るではないか。逃がさない。熱いハラワタを前脚で押さえつけ、口を深く差し入れる。絡みつくそれらをまとめて引きずり出し、噛み潰し、飲み込む。腹の奥へ落ちるたび、熱が広がる。足りない。もう一つの肉塊へ顔を埋める。爪を立て、身体をひっくり返す。柔らかい部分へ牙を入れ、腹の奥からハラワタを引きずり出した。排泄物の匂いが混じる。だが、それすらも邪魔にならない。それ以上に濃い匂いが、舌も喉も支配していた。柔らかなものから順に、貪るように喰らっていく。熱はまだ残っている。冷めきらぬ肉の温もりが、口の中でゆっくりと消えていった。骨を割れば、中から染み出るものがある。それも余さず舐め取った。腕へ牙を入れる。皮が裂け、繊維が一定の方向へほどけていく。やがて、動かす部分が減っていく。傍らには、力なく地を見つめたままの丸いものが転がっていた。鼻先で軽く突く。小さき頃、同じように転がして遊んだことがある。だが今はもう、それだけだった。興味は続かず、我は次の肉へ顔を向けた。足先や頭の欠片。それらは喰わず、土を掘って埋めた。もう喰うためではない。匂いを残すためだ。ここにあると知らせる。ここに来させる。二本足のオスは来る。あの厄介な、鼻の利く四本足と共に。だからこそ、ここにはいない。血と肉にまみれたままでは、辿られる。私は水場へ向かった。流れの中に身体を沈め、毛の奥に絡んだ赤黒いものを擦り落とす。何度も、何度も。岸へ上がると、以前見つけた匂いの強い植物へ身体を押し付けた。葉を潰し、汁を毛へ擦り込む。首。背。腹。脚。自分の匂いを消すのではない。別の匂いで覆う。それが終わると、巣穴へ戻った。奥へ潜り込み、身体を丸める。静かだ。だが、遠くで何かが動いている。翌朝。まだ光が山に差し込む前から、遠くの方で声が響いていた。二本足らの声。何を言っているかはわからない。だが、落ち着きのない響きだった。やがて....山が弾けた。腹の奥まで響く、空気を叩き割る音。二本足らの長い筒の音だ。その直後、山は一瞬で静まり返る。鳥も、虫も、すべてが止まる。そしてまた声。「当たったぞー!」複数の声が重なる。荒い息。短い叫び。その間に混じる、四本足の吠え声。「ウォン! ウォ
Last Updated : 2026-07-21 Read more