青く透きとおった海水が、もう身体の半分まで届いていた。なのに、温度だけが感じられない。もう少し進めば、海の温度がわかるはずだ。そう思った矢先、あごの先に波が触れそうになったところで、成巳の足が止まった。水位は私の首のあたりでぴたりと止まる。彼が、静かに泣いている。生ぬるい涙がぽつり、ぽつりと落ちてきて、頬に当たる。「何ぼさっとしてんのよ、手を離しなさい!」後ろから響いたのは佐友里の声だった。両親が探し当てたという「本物の娘」だけど、その顔立ちは両親の誰ともまるで似ていなくて……ただ、私という厄介者を手放したいだけなのだと、ずっとわかっている。その命令に、成巳の腕から力が抜ける。支えを失い、私の体はあっという間に海中へ没していった。「真梨奈……真梨奈!」泣き声の混じった成巳の叫びが、どんどん遠ざかっていく。ああ、これでやっと終わる。彼は知らなかったはずだ。私がとっくに人に頼んで、車椅子のバッテリーを抜いておいたことを。もう自動で固定する機能はなくなっている。この瞬間、ようやく感じた。海の温度は、思っていたよりずっと冷たかった。さっきの涙も、この海水も、どちらもしょっぱいのだと、初めて知った。身体が沈み続ける。不意に、強烈な力が私を逆方向へ引っ張り上げる。岸に上がると、成巳はずぶ濡れの私を抱きしめて、泣きじゃくりながら何度も謝った。「ごめん、真梨奈、ごめん。俺の手が滑ったんだ」口と鼻を塞いだ海の砂にむせ返り、咳が止まらない。「大丈夫だよ……私が、自分で泳げないだけだから」手を伸ばして、泣き濡れた彼の頬を拭ってやりたい。でも、動かせるのは首から上だけだった。仕方なく、ずぶ濡れの成巳の髪に、そっと頭を擦り寄せる。「ごめん……ごめん……」成巳の声がひどく震えている。子どもみたいだ、と思った。身体の感覚はとうに失われているのに、胸が痛い。どうして助けたの。あと数秒で、私はこの世界からきれいに消えて、誰の足も引っ張らずに済んだのに。成巳は私を家まで抱えて帰ると、そのまま浴室へ運び、浴槽に座らせてシャワーをひねった。もの憂げな顔で背を向け、外へ出ていく。なのに、シャワーの水がいきなり顔へ降りかかってきた。息ができない。口と鼻を水が覆い、むせ返る。ドアの向こうから、かすかに泣き声が
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