知らぬ間に、私は二人の仲を引き裂いた「邪魔者」に仕立て上げられていた。親友から、空港で司が見知らぬ女性と一緒にいるところを見かけたと連絡をもらったことで、すべてを知った。その相手こそ、彼が大学時代から付き合っていた白石笙子(しらいし しょうこ)だった。画面に映し出された写真の中の二人は、片時も離れまいとするかのように抱き合い、互いへの情愛を隠そうともしていなかった。一年前、義母の桐原容子(きりはら ようこ)からこう聞かされていた。「二人はもう別れた。あの女は息子を捨てて海外へ逃げた」この言葉が理由で、私はこの政略結婚を受け入れたのだ。だが、現実は違っていた。笙子が海外へ渡ったのは彼を捨てたからではなく、私との結婚話が進んだことで、義母に無理やり追い出されたからだったのだ。司はこの一年ずっと私に冷たかった。理由が分からず、失恋の傷が癒えていないせいだと思い込んでいたが、他でもない私の存在そのものが原因だったのだと、ようやく思い知らされた。夜、スーツ姿の司が帰宅すると、玄関先で冷徹な視線を私に向けてきた。そのまま横を通り過ぎようとした背中に、私は思わず声をかける。「司、信じてもらえないかもしれないけれど……笙子さんのことは、何も知らなかったの」司の足が止まり、冷ややかに振り返った。私は胸の内に渦巻く思いを、勇気を振り絞って吐き出す。「私と結婚した時、まさか二人が……」「何を知らなかったって?」司は鋭い眼差しで遮った。「俺と笙子が別れていなかったことか? それとも、お前のせいで彼女が追い出されたことか?」息が詰まる。「瀬戸唯、お前は形だけの桐原家の妻でいればいい」司はそれ以上何も言わず、階段を上がっていった。その言葉の意味は痛いほど分かっていた。私に与えられるのは「妻」という名ばかりの肩書きだけ。私がこの肩書きを手に入れられたのも、義母が笙子を認めようとしないからに過ぎない。彼女が認めさえすれば、私なんてすぐに追い出されるのだ。けれど、そんな空虚な肩書きに何の意味があるのだろう。笙子と付き合う前――大学時代から今日までの七年間、ずっと彼だけを一途に想い続けてきたのに。こんなことになるのなら……最初から嫁いでなんかこなかった。やがて司が階段を降りてきた。その手には綺麗
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