ここに縛られて、もう4年以上になる。遺体が火葬されたあと、私はここへ流れ着いた。あの世から迎えに来た使いには、私のこの世への未練が強すぎて、連れていくことも、この場所から解放することもできないと言われた。だから、もう少し待て、と。それから私は、来る日も来る日もこのキンモクセイの木の下にいた。修吾がここへやって来る、その日まで。ここは私たちが出会った場所。そして、私たちはもう5年も会っていなかった。初めて会ったあの日、修吾は身体に合わないスーツを着て、大学の研究会へ向かうところだった。私はワンピース姿で、親友の江藤茜(えとう あかね)とキンモクセイの下で写真を撮っていた。まさか男に絡まれるとは思わなかった。まして、彼が助けてくれるなんて。修吾はその男を追い払った。全身擦り傷だらけだったのに、私と目が合うと顔を赤くした。「困っている人を放っておけなかっただけだ。じゃあ、僕はこれで」私はワンピースの裾をつまんで駆け寄り、彼の前に回り込んだ。「ねえ、連絡先くらい交換しない?今度、お礼にご飯をごちそうさせて」修吾はしばらく照れくさそうに笑っていた。私が不思議そうに眉を上げると、彼はようやく我に返ったようにスマホを取り出し、LINEのQRコードを開いた。彼があらためて研究会へ向かったときには、もう遅刻していた。サイズの合わない革靴で、足を引きずるように走っていった。私はあの瞬間、彼に心を奪われた。それから少しずつ距離を縮めていった。今の修吾は、身体にぴたりと合うイタリアンスタイルのスーツをまとっている。革靴も見るからに上質で、以前よりずっと落ち着いた大人に見えた。私はこっそり、その手を取りたいと思った。けれど、横から声が割り込んだ。「社長、そろそろ行かないと。奥様からまた連絡が来ますよ」秘書はどこか焦っているようだった。私は伸ばしかけた手を引っ込め、「奥様」という言葉を聞き逃さなかった。この5年の間に、修吾は再婚していたんだ。胸がきゅっと痛んだ。でも、すぐに気持ちを切り替えた。こんな日のために、何度も何度もこうなる場面を想像して、心を慣らしてきた。平気。ちょっと不意を突かれただけ。きっと優しくて、きれいな人なんだろうね。まあ、私に負けないくらいには。ぼんやりしているうちに、私の魂は修吾に
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