翌日、母は重い足取りで学校へ向かった。私はふわりと母の後ろを漂いながら、あの見慣れた通学路を辿り、久しぶりに教室へ入った。私の席は、まだそのままそこにあった。机の表面は綺麗に拭き清められ、右上の隅には、白い小さな花束がそっと置かれていた。周りのクラスメイトたちは誰も口を開かず、ただ目を真っ赤にして母を見つめていた。母は彼らと目を合わせる勇気などなく、逃げるようにうつむいたまま職員室へと入っていった。担任の先生が、鞄をひとつ母に手渡した。中には、書きかけの宿題ノート、インクの切れかけたペンが数本、そして配られたばかりの成績表が入っていた。学年1位。母はその成績表の数字を見つめたまま、石のようにしばらく動けなかった。「この子、私にはひと言もそんなこと……」担任の先生は、続けて保護者会の出席簿を取り出した。40人あまりいるクラスの中で、私の保護者欄だけが、最初からずっと空欄のままだった。「保護者会があるたびに、宮崎さんはいつも、お母さんの代わりに言い訳をしてくれていました。『母は仕事が忙しいだけで、私のことを愛していないわけじゃないんです』って」母はその白い空欄にそっと手を伸ばし、ぽたぽたと大粒の涙をこぼした。「知らなかった……この子は、一度も私に言わなかった」担任の先生は、堪えきれず目を赤く染めた。「39度の高熱を出した時でさえ、お母さんに電話する勇気さえなかったんです。迷惑をかけると思われるのが怖くて。痛いとすら言えなかった子が、あなたに何かをねだるなんて、そんなことできるはずがないでしょう」母は、返す言葉を完全に失った。担任の先生はデスクのパソコンを開き、ある映像を再生した。それは、学校の母の日の行事で撮影されたものだった。映像の中で、クラスメイトたちがひとりまたひとりとカメラの前に立ち、それぞれの母親に向けて感謝やお祝いの言葉を伝えていく。私の番が来た時、私は少しぎこちない、はにかむような笑顔を見せていた。「私の母は、世界で一番頑張り屋さんです。普段抱っこしてくれないのは、私に強い子になってほしいからです。兄にもっと時間をかけるのは、兄の方が母さんにもっと構ってもらう必要があるからです。これからはもっと言うことを聞いて、母に心配をかけないようにします」そ
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