Lahat ng Kabanata ng 女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。: Kabanata 1 - Kabanata 10

10 Kabanata

天界の女神様

「う〜ん……」 少女が目を覚ますと、そこには知らない天井が広がっていた。だが、いつもの室内灯は無く本当の白一色……。 少女はいつも通り目を開けて周りを確認するが……(あれ……?) 口に突っ込まれていた呼吸器の管が無い。反射的に口元に手を添えるが、そこには何も……鼻から入れられていた酸素吸入器の管も何も無かった。「やっと取ってくれたんだ……」 口からの酸素吸入はともかく鼻に管を入れられるのは想像以上に苦痛だった。なんだか鼻水ジュルジュル出てくるし酸素入る以上に余計に息苦しかった。 大きな声では言えないが、これ考えた奴死ねとベッドの上でいつも思っていた。 身体に何も管がつけられていない事が分かった少女は起き上がって周りを見回してみた。(夢……?) 周りは天井どころか壁も窓も何も無い。本当の白一色……。夢の割には自分をきちんと認識できているのだから……(あ〜、明晰夢か……) たまに見る夢の世界。歩いたり走ったり割と自由に出来る貴重な時間だった。 夢によっては覚めてほしくないと思うのだが……今回は不思議に自分の身体も自覚出来ている。(なんだか、明晰夢にしては随分本当みたい……) いつも病室で着ているパジャマ姿だ。明晰夢なのにこんなに現実染みているのも珍しい気がする。「あ〜、あ〜」 声もきちんと出るし息も苦しくない。間違いなく健康だった頃の自分だ。「斎藤陽菜さんですね。ようこそいらっしゃいました」 いきなり後ろから声を掛けられ、ビックリした少女は声の主の方に振り返る。(まぁ、夢ならいきなり誰か出てきてもおかしくないか……) 少女は相変わらずの一人称視点である事を確認していた。明晰夢の時でも唐突な場面転換やら視点移動やらあるからだ。 もちろん他の登場人物が現れる事も往々にしてあるが……声を掛けてきたのは白いドレスを着た金髪の女性だった。その姿はまさに「女神様……?」 ステレオタイプな女神の姿そのものだった。「私は天界の女神、転生課のアルダトリリーと申します。立ち話も何ですから」ーパアアァ……ー「こちらどうぞ。遠慮なさらずお掛け下さい」 アルダトリリーと名乗る女神は直ぐ様ソファーとテーブルを白い空間に生み出して少女に座る様に促してきた。「は、はい。お邪魔します」 少女は促されるままソファーに腰を下ろす。「早速なんで
last updateHuling Na-update : 2026-09-11
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ハイエルフ

「ほらほら、アンタは外に出てき。奥さんこれから頑張んなきゃなんだから!」 とあるエルフの村では、ある若夫婦に新たな家族が生まれようとしていた。「んぎゃああぁぁぁっ!」 出産に関する風景は人間達とそうは変わらない。出産に慣れたものが後進の手助けをする。それは寿命が人並み外れているエルフ達でもそれは変わらない。「あらあら、元気な女の子だよ。この村で女の子は千年ぶりだったかな?」 生まれたばかりのエルフの赤ん坊が桶で洗われ直ぐに母親とご対面、初めての抱っこという神聖な儀式へと繋がれていく。 初めての愛娘を抱き上げた母親は「こんにちは。私の可愛い赤ちゃん。貴方の名前は……」 そこまで言いかけたところでーバターンッ!ー 部屋の扉が勢いよく開かれて、外から焦り顔のエルフの男性が入ってきた。「ちょっと! まだ男は入っちゃ駄目だよ!」 産婆さんが男性を止めようとするが「名前は二人で決める約束だろう! 抜け駆けは駄目だぞ!」「あら? 初めての女の子だから良いじゃない。ローデンフェルトアレクサンドル……」 このエルフの母親が考えていた名前はエルフ一般的にも奇抜な名前であるらしい。一分程経過してもまだ続く名前の羅列に男性は「だから駄目だと言ったんだ! そんなキラキラネームの寄せ集め絶対駄目だからな! ミルさんはどう思う?」 エルフの男性は自分を部屋の外に押し出そうとしているミルと呼んだ産婆さんに尋ねる。話をいきなり振られたミルは「え、え? あ……ああ……」 明らかに言い淀んでいる。心情的に母親の味方でありたいのだろうが常識がブレーキをかけているのだろう。「ほらみろ! こういうのは二人でじっくり……」 マタニティハイになりかけていた母エルフを嗜めようとしていた父エルフはその時ある事に気が付いた。「その子の髪、明るすぎないか? それってまさか……」 一般的にエルフは金髪なのだが、それでも赤ん坊の髪は明る過ぎた。その事に思い当たる何かがあったのか父親はアワアワと震え出した。「まさか、その子は伝説のハイエルフなんじゃ……!」 ハイエルフとはエルフの中でも希少で寿命が無いとされている精霊神からの祝福を受けた幻の存在だった。 この村でその存在を直接知っているのは長老位なのだから、その希少性の高さは推して知るべしなのだ。 当然若夫婦である二人が直
last updateHuling Na-update : 2026-09-11
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約束の日

 精霊神のお告げの日から十六年、生まれた赤子は立派に成長しており十五で成人とされる人間達と遜色ない位に成長していた。「エリスフィーナ! ユニコーンの背から的をよく狙え!」 エルフの里の森の中で金髪の少女が白馬なユニコーンに跨ったまま弓に矢を番えて小さな的に狙いを付けていた。 ジャパニーズ流鏑馬的な訓練ではあるが、不安定な場所で矢を番え構えて狙いを付けて撃つ高度な訓練だった。 ハイエルフの名前がローデンフェルトアレクサンドル某にならず短く纏ったのは母親のマタニティハイが切れたからなのだろうか。ードスッ!ー 木々の中を走るユニコーンの背からエリスフィーナが放った矢は立ち並ぶ木々をすり抜けて狙った的に寸分違わず命中していた。 愛娘の成長を的の上の木の枝から見守っていた父アスタルから「よし、よくやった。実戦では狙いを付ける時間も射線も限られてると思え! 後は仲間と声で連係するんだぞ!」 アスタルはユニコーンで森を駆け抜けていくエリスフィーナに冒険者としての心得を再三再四にわたって繰り返し教えてきた注意事項を彼女の背中に投げ掛ける。(パパは心配性なんだから……) 幼い頃はパパっ子だった彼女も成長する娘の例に漏れず軽い自立心が芽生え始めていた。ーパカッパカッパカッ……ー そんなユニコーンが森を抜けるとその先の広場では木剣を携えた女性が待ち構えていた。「エリィちゃん。今度はママの番よ」 待っていたのはエリスフィーナの母であるエルウィンドだ。彼女達はエリスフィーナが生まれる前は外の世界で冒険者として生きてきた。 だからという訳ではないが、両親達は自分の得意分野を娘に叩き込んでいる訳である。 木剣を構えたエルウィンドは緑色のシャツとスカートにレザーブーツという格好であり娘のそれと大差は無いため見た目的にも同年代にしか見えない。「たあっ!」 エリスフィーナが先に踏み出し右手で突きを放つ。ーカーン!ー エルウィンドは突きを木剣で受け流しながら、勢い良く突っ込んできた娘の腹に膝蹴りを繰り出す。ーバシッ!ー エリスフィーナも左手で膝蹴りを受け止めつつ、突きを放った右手をそのまま左に薙ぎ払う。ーカーン!ー エリスフィーナの左薙ぎ払いはエルウィンドが突きを受け流した木剣を再度叩くだけの結果となったが、膝蹴りを出していた彼女の体勢を崩す効果はあ
last updateHuling Na-update : 2026-09-11
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旅立ちの日

 精霊神が直接管理しているエルフの里にやってきた勇者一行達は長老達と会談をしている。 勇者一行達は戦力増強の一助としてエルフに助力を乞いに王国から遣わされた……と言う事なのだが、魔王を倒す為の仲間と言ってもRPGゲームではないので皆がネームドキャラであり、誰もが仲間となれる世界である。 そんな中でわざわざ新人以下の実績しかないエルフであるエリスフィーナに白羽の矢が立ったのは、要は魔王に抵抗する意思を示したエルフの象徴という目立つシンボルが欲しいだけなのだ。 伝説の存在であるハイエルフが、自ら敵陣に赴く……そうなれば世界各地の森で暮らす態度を決めかねているエルフ達も対魔王の戦いに強力してくれるだろう。 そういう様な打算に裏打ちされた上でのエリスフィーナの勇者パーティーへの参加要請であった。「それで……勇者殿は馬鹿正直にそこまでご説明なされて我々が彼女を差し出すとでもお思いか?」 長老の一人が勇者と称される人間の大男の一人に棘のある言い回しで食って掛かる。ハイエルフは長老達にとってもエルフの里に安寧を齎すとされている重要な存在なのだ。 何しろ存ハイエルフは在自体が伝説であり、僅かな文献と口語でしか伝えられていない。 エリスフィーナがハイエルフとして認められているのも、他のエルフ達と明確に違う髪色が文献に記された特徴と一致するから……。 もちろんそれだけでは無いが、見た目で判別出来る違いがあるのは他者への説得力という点で非常に大きい。 「こっちとしては、大事なエルフのお嬢さんを無理やり連れて行くつもりは無い」 勇者とされる大男は二十代半ばか後半位のベテラン冒険者と言った風体だ。 背中に担がれている無骨な大剣と全身鎧、草臥れたマントが彼の実力と経験の深さを裏打ちしている。「だが、俺達はちんどん屋じゃないしお嬢さんお付きの召使いでもない。礼儀は弁えてるつもりだが、御嬢様扱いは出来ないし命の保証も出来ないって事だ」 勇者は自身の正直な胸の内を明かしてきた。彼が言うのは、エリスフィーナを勇者パーティーに同行させるなら覚悟をして欲しいという事だ。 国王からの手紙に書かれている美辞麗句は抜きにして、仮に精霊神とやらの思し召しだとしても命を奪われる危険のある旅にエリスフィーナを差し出す覚悟を彼は長老達に問うているのである。「しかし精霊神様のお話では彼女
last updateHuling Na-update : 2026-09-14
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勇者パーティーとの対面

ーコンコンー 少し恥ずかしい気持ちのまま新品装備に身を包んで長老宅にやってきたエリスフィーナが戸を叩くと……「来たか。入りなさい」 と、人前に出るのが少し恥ずかしい今のエリスフィーナにとって無慈悲な一言が返ってきた。「はぁ……。すぅ〜はぁ〜」 長老からの無慈悲な返事にやりきれないため息を付いた彼女はあらためて深呼吸をする。そして「し、失礼致します。エリスフィーナです」ーガチャー 顔を赤くしながらも、彼女が名乗りながら戸を開けると……(…………) 部屋の奥に立ち並ぶエルフの長老達、そしてこちらに注目する数人の男女の姿があった。「あれが……ハイエルフですか?」「そうらしいわね。なんだか思った感じじゃないわね〜」 勇者パーティーの紺色のローブを着た魔術師風の灰色長髪優男と、赤い衣装にとんがり帽子と赤みがかった茶髪の女魔術師がそれぞれ感想を述べる。(…………) 彼らの元に近付いていくエリスフィーナはなるべく平静を装っていたが、慣れない衣装に初対面の相手……生まれてこの方エルフの里暮らしだった彼女には中々ハードな状況だ。そんな緊張極限な彼女に「なにお前、七五三? 今日日王都でもそんな奴いないぜぇ?」 黒髪短髪の黒ずくめ男キリヤ王子がエリスフィーナを見るなりその衣装を揶揄ってきた。「これは……父と母がこの日の為に用意して下さった装備です! いきなりなんですか貴方は!」 自分自身でもビックリする位の大きな声にエリスフィーナ自身驚いてしまった。 しかし、初対面の他人から両親が侮辱されては、いくら自分でも疑問符が付いている衣装であっても黙っている訳にはいかない。 軽口に本気で怒っているエリスフィーナにキリヤ王子は「な、なんだよ? こんくらいの冗談でマジになんなよ〜」 あくまでも謝らない失礼太郎にエリスフィーナがさらに怒鳴ろうと一歩踏み出したその時「お嬢ちゃん、うちの若いのが悪かった。コイツはこんな態度だが王家の人間なんだ。ここは矛を収めてくれないか?」 全身鎧の大男がエリスフィーナとキリヤの間に割って入ってきた。彼は深く頭を下げると「聞いているかは分からないが俺達は魔王討伐の為に活動している者だ。世間からは勇者パーティーって言われてる」 大男はエリスフィーナの前で膝を付くと「俺はガルドリック・ヴァールハイト。こんなでも勇者とか
last updateHuling Na-update : 2026-09-14
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勇者パーティー

 長老宅の後、両親に見送られて里を発ったエリスフィーナはガルドリック達と森の中を歩いていた。「森の出口はこちらです。どうぞ」 精霊神に護られたこの森はいわゆる迷いの森の様な構造になっている。 今回は最初から精霊神が受け入れ準備万端だったからガルドリック達勇者パーティーも難なく里に辿り着けたが、帰りが保証されている訳では無いし土地勘の無い彼等では普通に迷ってしまう危険がある。 一方のエリスフィーナも里から出た事が無いと言っても本当に一歩も出ていない訳では無い。 流鏑馬訓練に森の中を駆け回ったり、森の近くの湖で水浴びしたりはしていたのだ。そんなエリスフィーナが彼等を先導しているとーパカッ……パカッ……ー 彼女には聞き慣れた蹄の音が近付いてきた。「ブルルルル……」 森の奥からやってきたのは白いユニコーンだった。彼は少し悲しそうにしながらエリスフィーナに頭を垂れてきた。「もしかして、見送りに来てくれたの? ありがとう……!」 エリスフィーナが彼の頭に抱きつくとユニコーンもいつもの様に安らいで頭を彼女に預けてきた。そんな二人に「俺知ってるぜ。ユニコーンてのは処女厨なんだろ? て事はお前処女なのかよ〜」 キリヤ王子がエリスフィーナを馬鹿にする様にデリカシーの欠片もない言葉を吐いてきた。 二人で別れを惜しんでいるところの空気の読めない発言に「な、何かいけませんか!」 相変わらずのキリヤ王子の失礼な物言いにエリスフィーナはたまらず言い返す。「お〜怖〜、冗談だよ、本気になんなよな〜」 怒られたキリヤは肩をすくめておどけてみせる。「メル、貴女はユニコーンに近寄らない方が良さそうですよ?」「そ、そうね。私は付き合ってきた男の数なんて星の数程いるもの」 灰色長髪優男が近くの赤髪魔術師に軽口を叩くと彼女もそれに応戦する。「エリスフィーナ、俺達はそれほど暇じゃない。悪いが……」 ガルドリックがエリスフィーナに声を掛けるとユニコーンはエリスフィーナから離れパーティーの間を通り過ぎ始めた。ーパカッ……パカッ……ー 彼は勇者パーティーを一人一人値踏みでもするかの様に確認しながら歩いていく。 ガルドリックと白い法衣でピンク髪の神官女性にはチラ見しただけで特にユニコーンに気に留める様子は無い様に見えた。 次に赤髪魔術師と優男賢者だが、誰もがそのま
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初めての旅路

 ユニコーンと別れエルフの里の森から抜け出たエリスフィーナ達勇者パーティーは、当座の目的である隣国のアトレイス連邦国家へ向かう事となった。 件の国は連邦国家という事で様々な国が利害の一致から一つに纏まっているという、悪く言えば各々では独立維持が難しい寄せ集めな国家だった。 しかも、盟主であるアトレイス公国は人間の国ではあるものの、周りの小国は森や山地が殆どなエルフやドワーフ等亜人達による国家が乱立している様なものなのだ。 彼等を纏めて魔王軍に対抗するのはアトレイス公国単独では難しいだろうという見立てで、彼等の協力を得たいホワイトクラウン王国の意向でハイエルフであるエリスフィーナを旗頭にしようと言う事なのであった。「て訳なのね。ただ魔法ブッパしてれば良い訳じゃないから私達も大変なのよ〜」 これらの説明はアトレイス連邦に向かいがてら、メルティーローズがクレスの注釈付きで事細かにエリスフィーナに説明してくれていたのだった。「はぁ……そうだったんですか。でもそんな責任重大なお仕事私に務まるでしょうか?」「私の見立てだけど……あなたなら良い線いってると思うわよ。ドーンと構えて笑顔振りまいてればオッケー!」 かなり適当な意見を述べたメルティーローズがエリスフィーナの問いに親指を立てて自信満々に答えてみせる。 そんな彼女の意見を補強する様に「まぁ、魔王軍に抵抗するエルフの代表として皆を魅了すれば良いのですからね。確かにエリスフィーナさんなら大丈夫でしょう」 今度はクレスがメルティーローズに同調し説明してきた。 二人がそう言うのならとエリスフィーナが何となく自信を取り戻していると「まぁ、神輿には丁度良いんじゃね? 神輿は清く正しいハイエルフで処女の方が都合良いだろうしなぁ」 ここでも品の無い意見を挟んできたのは最後尾を歩くキリヤ王子だ。 彼は両手を後頭部に回しながら軽口を叩いている。そんな傲慢不遜な彼の態度に「さ、さっきから失礼ですよ、あなた! 人を子供みたいに言わないで下さい!」 顔を赤くして否定するエリスフィーナの言葉などどこ吹く風のキリヤ王子は「へいへい。ハイエルフ様は真面目なお嬢様なこって」 と、彼は終始失礼な態度を崩さない。そんな騒々しいパーティーの後列にリーダーのガルドリックが「お前達、静かに!」 警告を発した。これは単に彼等
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魔石鉱山跡

 魔石鉱山跡に辿り着いた勇者パーティーの前に広がっていたのは切り出された石が無造作に放置されポッカリと大口を開けた鉱山入口だった。 勇者パーティーは直ぐに鉱山へ突入する準備に入る。先頭は大剣と松明を持ったガルドリック、次に聖女マリアリア、メルティーローズ、クレスと続いて新人のエリスフィーナ、最後尾に松明を持ったキリヤ王子が殿を務める編成となった。 今の勇者パーティーには索敵要員が居ない。その為、皆が考え無しに松明を持ってゾロゾロ乗り込む訳にはいかなかった。 何故ならゴブリンが潜む暗所へ突入する場合タダでさえ夜目が効くゴブリン相手に松明を持つだけでもリスクだからだ。 ゴブリンの中には投石器や短弓を扱う者も居る。暗闇での松明は彼らからの格好の標的になってしまうのだ。 最前のガルドリックが皆を守りながら前進。もちろん安全確認をしながらの危険な行軍となる。 皆が突入の準備を進める中、ガルドリックは鉱山入口周辺を入念に確認していた。「あの……ガルドリックさん? 何をしてらっしゃるんですか?」 彼の行動を疑問に思ったエリスフィーナが尋ねると「ゴブリン共が周囲には潜んでて、俺達のあとから挟み撃ちをしないとは限らないからな。それに入り口が塞げる様に細工してるかもしれない。安全確認は必要だからな」 との事である。彼が話すにはゴブリンは数が揃うとよりずる賢く、より凶暴になるらしい。「エリスフィーナも異常を感じたら遠慮なく言ってくれて構わない。頼むな」「は、はい! 頑張ります!」 ガルドリックに頼まれたエリスフィーナは元気よく返事をする。彼等とはまだ出会ったばかりだが、冒険者仲間とはこういうものなのかと彼女は軽い高揚感を感じていた。「よし、それじゃ入るぞ。遭難している冒険者達の確保が最優先だが二重遭難する訳にはいかないからな。気を抜くな」 全ての準備を終えた勇者パーティーはガルドリック指示の元、先述の順番通り魔石鉱山を奥へと下り始めたのだった。 魔石鉱山の中は真暗闇では無いにしろ、光源は松明と壁や地面や天井にある魔石の欠片がポツポツと光っているだけで暗い事に違いは無かった。 冒険者として経験の長いガルドリックや他のメンバー達と比べ不慣れなエリスフィーナの歩みはどうしても遅れがちだった。そんな中でーピタッ……ピタッ……ー と、壁の向こうから物音が聞こ
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天界の思惑

 天界の異世界管理所……多数置かれている異世界の球体群、その中の一つの異世界前で地上の様子……特にエリスフィーナの進展を見守っていた幼女女神レアは「よかった〜! ちゃんと歴史が良い方向に向かいそう!」 背中の羽根をパタパタさせて喜んでいた。 実際の所、斎藤陽菜を送り込む前の正史では、エリスフィーナはゴブリン達に連れ去られて彼等の慰み者となってしまう運命となっていたのだ。 その後、救助はされるのだが、助け出されたエリスフィーナには既にハイエルフとしての自尊心も誇りも失い自ら死を選んでしまうという最悪な歴史だったのだ。 結果として魔王相手に結束出来なかった人間社会は混沌の時代が余計に長く続いていくというオマケ付きであり、その正史は天界が望む未来の形では無かった。 天界の目的は異世界の人々から膨大な信仰心を集める事にあり、それらが天界の力の根源ともなっているのである。 言うなれば、異世界の一つ一つが天界にとっての発電所の役割を果たしていると考えれば差し支えは無い。 異世界管理課の女神レアの仕事は異世界で生み出される信仰心をいかに効率よく集められるかにある。 そんな女神レアにとっては魔王が蔓延る地獄の様な異世界は何としても避けなければならない未来なのだ。 そんな最悪の未来を遠ざける立役者となる予定のエリスフィーナであり、彼女が無事にアトレイス公国に辿り着く事が明るい未来への第一歩となる。 しかし、正史のエリスフィーナは容姿こそ今の彼女と変わらないが、性格は典型的な森のエルフ然としたものでハイエルフとして人間を見下していた。 その為か、ガルドリックともメルティーローズやクレスとも旅始めと言う事もあってか何度歴史をやり直させても良好な関係は築けなかった。 しかし、今回は転生者斎藤陽菜の魂の影響か、エリスフィーナの人当たりが良くなっていたのが歴史が良い方向に進んだ原因だろう。 異世界管理課の女神レアが思い付いた現世の魂を異世界の魂に融合させて歴史に変化を促す試みはこうして一定の成果を上げたのだった。 これなら、女神が直接異世界に降りて実力行使するよりバタフライエフェクトを誘発させる可能性を危惧する事も無い。 一つの仕事が片付いたと胸をなで下ろしているレアの横では(もしかしたら、追加の転生者送っておいたの要らなかったかしら?) 一緒に異世界を見
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歩くパッシブソナー

「アンタ、攻撃するなら周りをちゃんと見てからしなさいよね? 同士討ちになりかけてたんだから!」 メルティーローズがキリヤ王子に苦言を呈する。確かに彼は辺り構わず四方八方に攻撃していた。 エリスフィーナもウンディーネが居なかったら重傷を負っていたかもしれない。 だが、彼女はここでは言及するのは止め黙っておく事にするのだった。「うるせぇなぁ、俺の攻撃範囲に居るのが悪いんじゃねーか。戦ってんのに気を使ってなんかいらんねーよ」 苦言を呈されたキリヤ王子は不貞腐れた様に頭を描いている。どうも彼はパーティーでの連携に不向きなのかもしれない。「それにしても……敵に気付いていたとは?」 ガルドリックはキリヤ王子が口にしたエリスフィーナが敵に気付いていたという言葉が気になった様だ。「は、はい。通路を奥に歩いている最中に、壁の向こうから物音が聞こえていたんです。キリヤ王子に伝えたんですが……気のせいだと言われまして……」 その話を聞いたガルドリックはクレス達と顔を見合わせ、皆が首を振ってお互いを確認し認識し合う。そして「それは恐らく君にしか聞こえていなかっただろう。俺にはあの坑道は静まり返っていた様にしか感じられなかったし、ゴブリンに気が付いたのも奴等が姿を見せてからだ」 ガルドリックの言葉にエリスフィーナは「すみません、自分が聞こえているから他の皆さんも聞こえているものとばかり……」 自分の思い込みと経験不足に改めて落ち込んでしまった。 彼には事前に気が付いた事があったら言って欲しいと言われていたのに、皆が聞こえていると判断して近くのキリヤ王子にのみ伝えるに留めてしまった。 もし、あの時大声でパーティー皆に知らせていたら……結果はより良いものなっていたのかもしれない。 もしゴブリンに襲われたのが自分じゃなく他の誰かだったら……悔やんでも悔やみきれなくなる所だった……。 自身の経験の浅さにエリスフィーナが再び落ち込んで俯いてしまったところに「ねぇねぇ、耳がよく聞こえるってどんな感じ? 街の中とかでも誰が何喋ってるのか完璧に分かるとか? 一度に沢山の人に話し掛けられても全部聞き分けられるとか?」 メルティーローズが食い付いてきた。魔術師だからか知識欲が旺盛であるらしい。「あ、あの……そこまで正確には……耳を澄ませたらよく聞こえる感じで……」 エ
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