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女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。
女神様にハイエルフとして長生きする様お願いされました。
Author: 大鳳

天界の女神様

Author: 大鳳
last update publish date: 2026-09-11 14:51:35

「う〜ん……」

 少女が目を覚ますと、そこには知らない天井が広がっていた。だが、いつもの室内灯は無く本当の白一色……。

 少女はいつも通り目を開けて周りを確認するが……

(あれ……?)

 口に突っ込まれていた呼吸器の管が無い。反射的に口元に手を添えるが、そこには何も……鼻から入れられていた酸素吸入器の管も何も無かった。

「やっと取ってくれたんだ……」

 口からの酸素吸入はともかく鼻に管を入れられるのは想像以上に苦痛だった。

なんだか鼻水ジュルジュル出てくるし酸素入る以上に余計に息苦しかった。

 大きな声では言えないが、これ考えた奴死ねとベッドの上でいつも思っていた。

 身体に何も管がつけられていない事が分かった少女は起き上がって周りを見回してみた。

(夢……?)

 周りは天井どころか壁も窓も何も無い。本当の白一色……。夢の割には自分をきちんと認識できているのだから……

(あ〜、明晰夢か……)

 たまに見る夢の世界。歩いたり走ったり割と自由に出来る貴重な時間だった。

 夢によっては覚めてほしくないと思うのだが……今回は不思議に自分の身体も自覚出来ている。

(なんだか、明晰夢にしては随分本当みたい……)

 いつも病室で着ているパジャマ姿だ。明晰夢なのにこんなに現実染みているのも珍しい気がする。

「あ〜、あ〜」

 声もきちんと出るし息も苦しくない。間違いなく健康だった頃の自分だ。

「斎藤陽菜さんですね。ようこそいらっしゃいました」

 いきなり後ろから声を掛けられ、ビックリした少女は声の主の方に振り返る。

(まぁ、夢ならいきなり誰か出てきてもおかしくないか……)

 少女は相変わらずの一人称視点である事を確認していた。明晰夢の時でも唐突な場面転換やら視点移動やらあるからだ。

 もちろん他の登場人物が現れる事も往々にしてあるが……声を掛けてきたのは白いドレスを着た金髪の女性だった。その姿はまさに

「女神様……?」

 ステレオタイプな女神の姿そのものだった。

「私は天界の女神、転生課のアルダトリリーと申します。立ち話も何ですから」

ーパアアァ……ー

「こちらどうぞ。遠慮なさらずお掛け下さい」

 アルダトリリーと名乗る女神は直ぐ様ソファーとテーブルを白い空間に生み出して少女に座る様に促してきた。

「は、はい。お邪魔します」

 少女は促されるままソファーに腰を下ろす。

「早速なんですが斎藤陽菜さん、貴女は死にました」

 かなり唐突に衝撃的な事実をぶっちゃけてきた女神に対し少女は

(夢にしては随分現実っぽいな……)

 いつもの病室からかけ離れた今の世界は明晰夢の一種としか思えていなかった。

「貴方の来世ですが……何か希望はお有りですか?」

「健康で長生き出来る人生が良いかなぁ」

 少女は割と即答で考え無しに女神の問いに自身の希望を口にした。

「あの……それだけで? 何か力が欲しいとかチートが欲しいとかそういうのは?」

 女神は少女の反応が意外だったのか、困惑した様子で質問を追加してきたが……

「特にないです。健康で自由に生きられるなら」

 少女は即断即決で返答する。これは無欲とか思いつかないでは無く本当にこれが少女の希望なのだから仕方が無い。

「では……病気にならない健康体の身体にしましょう。それに転生先はハイエルフですからね。不老で健康は約束出来ます」

 女神は既に転生先を決めていた様で少女に選択の余地は無かったが……

(夢だけど……少しくらい夢見たって良いよね)

 少女は今の夢が覚めたら、また病室での毎日が始まるものと思っていたので、転生先とかあまり細かい事は気にしていなかった。

「言っておきますが、来世に現世の記憶は持ち越せません。その辺りはご了承下さいね。それでは異世界管理課の女神の元に行って下さい」

ーパアアァァー

 女神が少女に手を向けると少女は光に包まれ、あっという間に場面転換を果たしていた。

(おお、さすが夢。なんでも有りだな)

 少女は改めて明晰夢の出鱈目さに感嘆していた。

 次に少女が立っていたのは多数の青い球体が並ぶ白い空間だった。まるでボウリングの球が規則正しく並べられている様な不思議な空間……。

「あの〜、転生者の方ですか?」

 今度少女に声を掛けてきたのは白いドレスを着た少女……金髪なのは変わらないが年端も行かない幼女だった。

「わたしは異世界管理課の女神、レアと申します! 貴方の転生先の異世界はこちらです、どーぞ!」

 レアと名乗る幼女の女神は背中の羽根をパタパタさせながら少女の先導を始めた。

「斎藤陽菜さんの行く異世界は魔王と勇者が戦いを繰り広げる世界です! 何かご質問はありますか?」

 レアは先導しながら少女に転生先の説明を始める。全てが初耳な少女は

「あー、そうなんですか〜。大丈夫大丈夫、健康なら何でも」

 相変わらず明晰夢だと思っている少女は真面目に考えていなかった。

「斎藤陽菜さんの転生先はこちらの異世界です!」

 レアが案内してきた異世界の青い球体は黒い靄みたいなモノが纏わりついていた。

「転生先のハイエルフはこのままだと早死にしてしまうんです! 斎藤陽菜さん、貴方にはその運命を跳ね除けて世界の平和に貢献する使命があります! 頑張って下さいね!」

 明晰夢の割には世界がなんだかしっかりしているな……と思い始めていた少女だが、彼女がそれを改めて再確認するより先に

ーパアアァァー

 幼女女神レアから放たれた光に少女は包まれ、視界があっという間に光で一杯になり、いつしか少女の視界も意識もあやふやになっていってしまうのだった。

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