「あはははは……あーっははははははっ!!!」生きる者を慈悲なく呑み込む闇夜の森、恐ろしげな静けさの中で私は高らかな産声を上げたこの瞬間に、世界が生まれ変わっていく音が聞こえる。体を撫でる風が心地良よく感じ、周囲が光り輝き始め、全身を激流の様に巡る血や煩いくらいに高鳴る鼓動でさえ〝はじめまして〟と言いたくなる。空を見上げていた目線を落とし、ほんの少しの冷静さと辺りを漂う死臭が一気に現実へと引き戻してくる。そうして、私の状況を再び認識したその時に、抑えつける事の出来ない感情を解き放たれる。「お継母様も、異母妹も、全員この世界から居なくなってしまえばいい!」内から出る感情が刃のように喉を切り裂き飛び出していく、痛く焼けるようだが溜まっていたものを吐き出すのは気分が良い。「あいつらを取り巻く人間は皆、死ねばいいっ‥‥苦しんで、追い込まれて、絶望するがいい!!」私は今までずっと我慢してきた、抑えて潰して押し殺して、いい娘であろうと良き婚約者であろうと、全てを捨ててでも我慢して耐え続けてきた。もうこれから私を縛るものはない、私は自由だ。生まれて初めての自由を手に入れた。「ふふっ、エレナじゃったか?余程の事があったようじゃのぉ」その声に、私は重たくなった頭で振り返る。この森の中には私以外にもう一人だけ生存者がいた、妖艶な声をかけてきた彼女の声が私の耳を撫でるようで、不思議な雰囲気を纏いながらもどこか懐かしさも覚えていた。「ありがとう、【魔王オルタナ】。そうね……長いようで短いような、そんな日々だったわ」あの日はもう戻らないと、喜びにも似た哀しみが頬を伝う涙として自然とこぼれ落ちる。感情とはこうも制御が効かないものなのかと、涙を拭いながらオルタナに顔を向ける。「その、唯一抱きかかえておる人は…」多数の死体が周囲に転がる中、私は動かなくなった一人の男性だけを抱きかかえていた。次第に失われていく温もりに確かな死を感じながら、抱きかかえる手に力が込められる。そうして、絞り出すように声を出す。「あり‥‥さようなら、お父様」言葉を漏らした
Last Updated : 2026-10-22 Read more