花火 結婚して十年。
45歳の鮫島彩花は、穏やかな夫と何不自由ない生活を送っていた。子供はいないが、それでも満ち足りた人生だと思っていた。
都内の本社勤務を命じられ、久しぶりの電車通勤に疲れていたある日。
彩花は駅の改札で、何度も顔を合わせる男――三島健人と出会う。
何を考えているのか分からない不思議な男。
だが彼は、なぜかいつも彩花の前に現れる。
しかし健人の薬指には、銀色の指輪があった。
既婚者同士。
決して踏み込んではいけない関係。
それでも二人は、夜空に咲く花火のような儚い恋に堕ちていく。