世界が混沌としているとき、ゲームは単なる娯楽を超えた意味を持つことがある。特にパンデミックや経済不安が続く中で、不確実性と向き合うための知恵を提供してくれる作品が注目を集めている。『ディスコエリジウム』はその最たる例で、アルコール依存の刑事が記憶を失ったまま事件を解決するという設定が、アイデンティティの揺らぎをテーマにしている。プレイヤーは選択の連続で、どのような人物として再生するかが問われるのだ。
もうひとつ興味深いのは『This War of Mine』だ。戦時下の市民を操作するこのゲームは、倫理的なジレンマを日常的に突きつける。食料を奪うべきか、病人を助けるべきか――そんな判断が文字通り生死を分ける。現実世界でも似たような選択に直面することがあると気付かされる。『Stardew Valley』のような牧歌的な作品も、予測不能な現実から逃避する手段としてではなく、小さな持続可能性を学ぶ場として読み解ける。作物の育て方から人間関係の築き方まで、不確実な要素をシステムとして内包しているのが魅力だ。
不確実性の時代を生き抜くヒントは、意外なところから見つかる。ゲームの仮想空間で失敗を重ねることが、現実世界でのレジリエンスを養う訓練になるのかもしれない。