同じく古典的な“契約・政略結婚→愛情へ”の趣を楽しみたいなら『The Duke and I』も外せない。こちらはドラマ化もされて広く知られるようになった作品で、形式上の結婚や立場の取り繕いから始まり、互いの本心が露わになってゆくテンポが見事だ。雰囲気はやや社交界寄りだが、冷酷に見えるけど実は執着しているタイプのヒーロー像が好きならフィットする。
表題の英語化について触れると、訳者はそのタイトルを 'Sorry for Being Cute' としています。直訳に近い選択で、語感が日本語の軽い謝罪と自己肯定の混ざったニュアンスをうまく英語に移していると思います。
翻訳では語順や助詞のニュアンスをどう処理するかで印象が変わることが多いのですが、この英題は元の短さとリズムを保ちつつ、英語圏の読者にも意味がすぐ伝わるのが利点です。僕は他作品の英題、たとえば 'Kimi ni Todoke' が 'From Me to You' と訳されたケースを思い出して、タイトル一つで受け手の期待がかなり変わることを実感しました。
訳者の意図としては原題の持つ軽やかな自己主張を損なわず、かつ販促上のキャッチーさも確保する狙いがあったと考えています。個人的にはこの英題は作品の雰囲気に合っていると感じます。