吹き替え版の翻訳で特に目立つのは、英語のスラングや文化的なジョークの処理ですね。海外ドラマの『フレンズ』を見ていた時、"How you doin'?"という台詞が「元気?」と訳されていたのには驚きました。本来のニュアンスはもっと軽薄で挑発的なのに、日本語では完全にニュートラルな挨拶に変わってしまっていて。
でも考えてみると、これって文化の違いを埋めるための苦肉の策なのかもしれません。日本語にはそもそもそういう「遊び心のある挨拶」の文化が少ないですから。『ビッグバンセオリー』のシェルドンのマニアックなジョークが全て学術用語の駄洒落に置き換えられているのも、同じ理由でしょう。視聴者が楽しめるようにするためには、原語のニュアンスを犠牲にしても分かりやすさを優先する必要があるんでしょうね。
『タイタニック』の"I'm the king of the world!"は今見るとちょっと恥ずかしいよね。あの時代の熱量を考えると納得もできるけど、現代の感覚だと大げさに感じる瞬間。
でも逆に、ああいう純粋な感情表現が90年代ロマンスの魅力だったりする。『ノートブック』の雨のキスシーンも同様で、当時は胸が熱くなったけど、今見ると『えっ今そこ!?』ってツッコミたくなる。時代の変化が感じられるのが面白い。